マッチで偲ぶ外食史:パステル 「おいしさは食感だ」ということを教えてくれた

2019.07.01 485号 13面
※マッチは筆者のコレクションです

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 ●「おいしさは食感だ」ということを教えてくれた大ヒットスイーツブランド

 「パステル」は、愛知県を本拠地として飲食店を展開しているチタカ・インターナショナル・フーズが1984年に生み出したオリジナルブランドだ。1号店は名古屋の地下街「ユニモール」に出店している。93年に発売を開始した「なめらかプリン」が大ヒットし、以後「パステル」はデザートレストランとして全国区の人気店となる。90年代は、ティラミスに端を発する、レストラン発祥のデザートが独自の進化を遂げた時期だった。デザートや菓子がスイーツと呼ばれるようになったのはこの頃だ。そうした時代背景の中でも、「なめらかプリン」は大きな存在感を放った商品だったといえるだろう。

 公式サイトによれば、チタカ・インターナショナル・フーズの創業は1902年、酒類の小売商であった「知多屋嘉助商店」にさかのぼるという。1世紀以上の歴史を持つ食の老舗だ。しかし同社は、2015年に「パステル」のレストラン部門をヴィア・ホールディングスに譲渡、18年には同デザート部門をオールハーツ・カンパニーに譲渡し、「パステル」は同社の手を離れた。現在、同社はオリジナルブランドの「とんかつ知多家」のほか、「ケンタッキーフライドチキン」などのFC店舗を展開している。

 2000年以降に起きたカフェやデパ地下のブームと食物販スイーツの広がりによって、スイーツの世界は大きく変化してきた。しかし、私たちが「なめらかプリン」に感じた“新しい食感を知る楽しみ”は、今も受け継がれているのだろうと思う。

 (イートワークス代表 入江直之)

 ※マッチは筆者のコレクションです

 編集協力:株式会社イートワークス(http://www.eatworks.com/)

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