メニュートレンド:真っ赤なシビ辛おでん! 醤(ジャン)から手作りの本場感
大衆酒場+四川料理という異色コラボな店づくりで注目されている店が東京・神保町の「四川大衆ハオワール」だ。麻婆豆腐やよだれ鶏といった本格中華が酒肴に並ぶ中、ひときわ目を引くのが看板商品の「麻辣おでん」。慣れ親しんだおでんが真っ赤に染まったビジュアルは同店のコンセプトを見事に表現している。
●クセになる辛いモン酒場
赤く染められた大根やコンニャク、ちくわ。そこにまぶされた唐辛子や花椒といったスパイスがシビ辛感をいっそう強調している。実際食べてみると当然辛い。が、クセになるうまさがあり、辛い辛いと言いながらも止まらなくなる。いろんな食材を許容するところがおでんの長所だが、激辛スープでもまとまるとは、おでんの懐の深さを実感する。
「最初は大衆酒場の定番料理であるモツ煮込みを四川風にアレンジしてみたのですが、ビジュアル的にも味としてもあまりインパクトが出なかった。もっと意外性のある組み合わせにならないかと考えついたのが、火鍋のだしでおでんを炊くことでした」(菊地正寛店主)。
おでん種は18品前後を用意するが、白モツ、牛ハチノス、豚ガツといったモツ類が多く、注文の仕方次第でおでんとしてもモツ煮込みとしても楽しめるというわけだ。その他の種は大根やウインナー、三角形にカットしたさつま揚げを串に刺したチビ太などを90~180円で揃えて下町おでんをアピールする。
味の決め手はやはりシビ辛い「だし」。店で毎日炊き上げる鶏がらスープに、豆板醤2種、麻辣醤、サーチャー醤、ニンニク、唐辛子、粉山椒、八角を加えて四川の味に仕上げる。使用する“醤”のほとんどを自家製しており、これが本場四川の味を表現している。
「いわゆる火鍋と比べてシンプルな味を意識しています。四川料理の火鍋は“好きな人”が注文するから個性を求められますが、大衆酒場なので辛い味が好きな人も嫌いな人も楽しめる味を目指しています」と菊池店主。こうした工夫もあって来店客の注文率は100%。“お通し代わり”として最初に注文するお客が大半だ。
意外性があるが分かりやすい味がウケて毎週のように通う常連客も多く、また四川料理ファンの女性の目的来店客も増えてきているという。「今後は季節によって食材に変化をつけていく計画です。また辛いもの好きなお客さま向けの激辛おでんも作ってみたいですね」と菊池店主は語る。
●店舗情報
「四川大衆ハオワール」 所在地=東京都千代田区神田神保町1-48-3/開業=2018年11月15日/坪数・席数=20坪・40席/営業時間=11時30分~14時、17時30分~23時。日曜休/平均客単価=1500~3000円
●愛用食材・資材
「豆板老油(トウバンラオユ)」 輸入元=三明物産(東京都江東区)
四川の名店が監修 少量で本場の香り
「これを入れるだけで本格的な香りになる」と菊池店主が麻婆豆腐、担々麺、炒め物の隠し味に使用するのが同品だ。中国四川省にある名店「卞氏菜根香」の協力を得て作られた、四川料理の万能香味油。
規格=900g
【写真説明】
写真1:売れ筋のおでん種の盛り合わせはチビ太、大根、ウインナー、小松菜、ハチノス、白モツ。全時間帯でだしの染みた食べ頃を提供できるよう2回に分けて仕込んでいる。麻辣醤や青唐辛子などスパイスのトッピング4種50~100円も用意