メニュートレンド:牛ホホ肉 70時間煮込んでモッチリ!
●気軽なランチで肉の魅力発信 アレンジ多彩で麺類も
牛肉の部位では、ホホ肉はなじみが薄い食材。高級なフレンチやイタリアン、焼肉店などでしか出合うことができない味だ。そのおいしさを一般化したいと奮闘中なのが、大阪の「とろける牛ホホ専門店 cheek」。じっくりと煮込んだ肉を手頃なランチメニューで提供し、人気が上昇中の注目店である。
飲食店激戦区の大阪・福島にある同店は、ワインバーの昼間に間借り営業する店。店主の小林友樹さんは、イタリアンでの修業を経て独立した。
「牛ホホ肉を食べたことがない人や、臭みがあると思っている人は多い。しかし、素材選びや適切な処理でおいしく食べられることを知ってほしいと、専門店化を考えました」と、小林店主。ぜいたく感ある食材を気軽に楽しめるスタイルが評判を呼び、順調に集客。8割が女性客で、男性はボリュームあるステーキを目当てに来る人が多いとか。
目指すのは、ホホ肉でよく表現される“ホロリ”とした口当たりではなく、その上をいく“モッチリ”した食感だ。素材はすべて国産牛で、ステーキには黒毛和牛を使用。それぞれに煮込みを行い、さまざまな料理にアレンジする。
煮込みのポイントは、まず産地や飼料などで甘さが変わる肉の特性を把握すること。その上で、「肉と相談しながら」(小林店主)の繊細な気遣いが必要という。
下処理した肉は、スパイスや赤ワインなどとともに真空パックにして湯煎。緩急をつけた温度調節をしつつ、ステーキ用は40~50時間、他メニュー用は約70時間じっくりと煮込む。完成後、肉のエキスが溶けだした液は、デミグラスソースに活用。隠し味に白味噌などを加えて、まろやかな風味に仕上げている。
また、肉をトッピングしたカレーやスパゲティなども用意。ナポリタンスタジアム2021(カゴメ主催)で準グランプリを獲得した「3度楽しい牛ホホのナポリタン」は、ナポリタンとデミグラスソースで濃厚に、温泉卵を加えればクリーミーにと、味の変化が楽しめる人気メニューである。
暑い季節向けに開発した「国産牛ホホ肉の冷やし担々麺」も好評で、販売期間延長や新たな麺類に替わる可能性もあるとか。今後のメニュー展開とともに、近い将来に実現しそうな実店舗への進化も楽しみだ。
●店舗情報
「とろける牛ホホ専門店 cheek」 所在地=大阪市福島区福島3-9-15 2階(コント・デュ・ヴァン方)/開業=2020年11月/坪数・席数=14坪・10席/営業時間=11時30分~15時。月・火曜休/平均客単価=1350円
●愛用食材・資材
「コート・デュ・ローヌ・ルージュ」
輸入者=ラック・コーポレーション(東京都港区)
肉に負けない力強い味
同店で煮込みに使用するのが同品。フランス・ローヌ地方で作られる辛口の赤ワインである。選択のポイントは、味が強い牛ホホ肉に負けない力強い味わいだ。また、飲んでうまいことも採用の条件で、同品はこちらも合格。手頃な価格も魅力で、調理と食事で提供する飲料の二刀流で活躍する商品だ。
規格=750ml
【写真説明】
写真1:煮込みは、サラダや野菜料理、テリーヌ、キッシュなどの副菜を添えて提供。ナポリタンの温泉卵は、卵が苦手な人や好きなタイミングで落としたい人のために別添えする