焼肉特集:時代に刺さる注目店=焼肉店で唐揚げが人気の理由 焼肉みほり峠
山口県を中心に和食や豚カツ、ステーキ店など計24店舗を展開するMIHORIは、同県の外食業界をリードする存在だ。焼肉業態には特に注力し、「焼肉家えんず」を3店舗、そして「焼肉みほり峠」は3店舗目となる山口店を21年10月にオープン。焼肉店の枠にこだわらない数々のサイドメニューが特徴的だ。
●業態にこだわらず「外食の楽しみ」を
「焼肉みほり峠」は、タッチパネル注文システムと配膳レーン、配膳ロボットを導入した、最近急増している新時代タイプの焼肉店。地元で親しまれている店だ。
MIHORIの藤井一正社長によると「家族4人で来店し、1万円でおつりが来る」と、気軽に足を運べる点が支持を集める理由だが、同店のサイドメニューの好評ぶりも見逃せない。多彩な外食業態を展開している強みを生かし、焼肉店の枠にとどまらず、他業態で人気のメニューを大胆に採用している。
そんな同店の姿勢を象徴する一品が「唐揚げ」だ。同社が展開する唐揚げ専門店やレストランなどで45年以上も販売し続けているロングセラー商品だが、焼肉店で唐揚げというのは少し珍しい。「焼肉店は差別化がしづらくメニュー開発が難しい」と藤井社長は苦笑し、「せっかく外食に来るなら焼肉にこだわらず、いろいろな楽しみを堪能していただきたい」と、異色メニューを採用した理由を語る。
しかし、焼肉のサイドメニューとして、唐揚げは果たして需要があるのか。これが、何と山口店だけでも1ヵ月に3500個、約4割のお客が注文する大人気商品なのだ。実は、地元では「みほり峠の唐揚げ」はよく知られた存在で、「みほり峠に行くなら唐揚げ」とされるおなじみの一品。ランチの焼肉セットでさえ、唐揚げを追加注文するお客が多いという。
「あの店の味」として地元に根付くことができた商品は、どんなシーンにあっても必ず強い、という事実が改めてうかがえる。
●店舗情報
「焼肉みほり峠 山口店」経営=MIHORI/店舗所在地=山口県山口市吉敷中東4-7-2/開業=2021年10月/坪数・席数=120坪・27卓142席/営業時間=11時~15時、17時~22時15分、土日祝11時~15時、16時30分~22時15分。無休/平均客単価=2,400円/1日平均集客数=平日200人、土日祝400人
●愛用食材・資材
「りんご酢」 オタフクソース(広島市西区)
やわらかい酸味で冷麺にも
フルーティーな香りとまろやかな酸味のりんご酢。「鼻につかないやわらかい酸味と爽やかな軽い風味で、誰にでも好まれる味だと思います」と紀藤店長。同店では冷麺に使用しているが「さっぱりとした冷麺に合う。食べやすい穏やかな味になりますよ」。
規格=1.8L
【写真説明】
写真3:ユッケは提供に大きな制約が課せられているため、洋食業態の発想でローストビーフのユッケを展開。「通常のユッケとは少し違いますが、それが逆に『食べやすい味で安心』と好評。お子さんの人気も高い」(紀藤明宏店長)という