企業トップインタビュー:NEXYZ.Group 近藤太香巳社長兼グループ代表
●新店・改装時の悩み解消 初期投資ゼロで最新設備
「新店オープンのために厨房機器を揃えたい」「古くなった空調設備を入れ替えたい」という飲食店からのニーズは高まっている。客足が戻り、新店・改装に意欲的な飲食店も「初期導入費が重い」という悩みが大きい。
その悩みを解決するのがNEXYZ.(ネクシーズ)が提供するサービス「ネクシーズZERO(ゼロ)」だ。同サービスはエンベデッド・ファイナンス(組込型金融サービス)と呼ばれる事業スキームを活用し、設備・工事費など初期投資ゼロで最新の設備を導入できる。
スタートは2012年、LED照明への切り替え事業からだ。設備・工事費は不要で、5年保証のサービス料金のみ。サービス料金はLED照明導入によって電気料金からコストダウンした料金の範囲内で完結するという顧客、製造会社、同社の三方良し、かつ二酸化炭素排出削減にも貢献するサービスだ。200万tのCO2削減を見込んでいる。社会的評価は高くムーディーズで「Aaa(sf)」と最高格付けランクを取得、20年には環境大臣から「エコ・ファースト企業」認定を受けている。
導入が最初に進んだのが外食産業だ。近藤太香巳代表は「パッションリーダーズという次世代経営者の会の代表を務めており、同世代の飲食経営者が多かった。その関係で、冷蔵庫も食洗機も頼むという具合に取り扱いアイテムが増えていった」。現在の取り扱いアイテムは冷凍冷蔵機器、フライヤーなど50万点を超える。資金もメガバンクと1000億円を調達できる事業規模になった。
「最初の5年間は仮説でしかなかった事業だが、仮説が実証でき、取り扱いメーカーや工事網が整備できた」という。17年の納入実績は3万3000件だったが、24年2月には導入件数10万件を超えた。初期費用ゼロというメリットはもちろん、適材適所に柔軟な商材を導入できる幅広い商材バリエーションと設置までのスピード対応が認められた。導入商材が決まれば最短1週間ほどで設置可能だ。
近藤代表は、営業社員に対し「設備戦略プランナー」のマインドで営業するように指導している。「顧客の省人化、省エネなどの経営課題を解決する。あらゆるメーカーと取引があり、工事網を持つ当社だからこそ可能」という。飲食店などへの営業活動は地銀と連携して行っており、地元飲食事業者による出店や既存店の改修・設備の入れ替えの需要が大きい。