デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(3)原信・ナルス
◆寡黙で誠実な新潟気質の商品開発 合言葉は「おいしさがドまん中!!」
俗に寡黙で誠実と評される新潟気質。その新潟気質を地で行くのが「原信」(68店舗)と「ナルス」(12店舗)の惣菜だ。一見控えめだが、内に秘めたる研さんの蓄積は「惣菜の手本」と賞賛されている。スーパー業界でいち早く「消費者の食シーンと連動した惣菜開発」を掲げ、生鮮3部門と惣菜部門の連携を強化。部門間の壁を越えた横串戦略により「おいしさを仕入れ・作り・伝える」を実践してきた。スーパーにありがちな「それなりにおいしい定番惣菜」ではなく、「確固たる理由のあるおいしさ」を追求する惣菜の数々を紹介する。
●だし感を強調しポジティブに減塩
「だし香るカツ重」538円(税込み)/約430g
「だし香る大粒ふわとろたこ焼き」[8個] 430円(税込み)/約280g
POINT=「だし香る」ブランドを加工食品にも水平展開
だし感を充実させることでおいしさアップと減塩を両立させた看板ブランド。同社の株主総会で「惣菜がしょっぱい」と指摘を受け、減塩惣菜を発売したところ、「減塩=おいしくない」とのネガティブイメージから販売はイマイチ。改善策として、減塩のアピールをやめ、濃厚だしで風味を補強したところ大ヒットした。その後「だし香るブランド」に発展。現在、惣菜部門で40~50品、PB加工食品などを含めるとブランド約190品に達する。
「何よりおいしさが評価されている。無意識に健康を演出できる惣菜は理想的」(同社広報)と胸を張る。中でもブランドを象徴する双璧が「だし香るカツ重」と「だし香る大粒ふわとろたこ焼き」だ。カツ重のヒットにより、単なる減塩ではなく、だし感を強調するコンセプトが誕生した。
たこ焼きは専門店レベルを目指して一層だし感を訴求。中身はトロミのある軟らかい生地、外側は形状を保つ強い生地の2層構造。さらにタコを大きくカットし、加熱後の縮みを減らしてタコの存在感を高めている。だしの原料は主に鰹節、昆布、鯖節、椎茸。料理ごとの絶妙な配合が自慢だ。
●新潟県山間部のソウルフード
「くるみ太巻き」387円(税込み)/約250g
POINT=濃厚風味でごちそう感
「くるみ太巻き」の食文化は、ほぼ新潟県内に限られている。具材のメインは濃厚なオニグルミの甘煮。昔、流通が乏しい山間地域で、魚介ネタのごちそう感をイメージして特産のオニグルミが使われ、次第に県内全域に伝わったという。
具材はシャリ、オニグルミの甘煮、卵焼き、干瓢、椎茸煮、ヒジキ煮、キュウリ。太巻き1本を8カンにカットし、4カン1パックで販売。本品の差別化はクルミの粒が大きいこと。クルミの濃厚な風味、立体感と食感を生かすため、相場よりもひと回り大きく砕いている。クルミ入り、他の精進太巻きの販売比率は9対1。老若男女を問わず「クルミはごちそう」が浸透している。
●惣菜部門のポリシーを象徴
「手造りおはぎ」[4個] 475円(税込み) 1個・約100g
「新潟ぽっぽろうる」214円(税込み) 1本・約120g
POINT=秋保のおはぎに習い磨き込み
1985年の発売以来、惣菜部門のポリシーを象徴する看板商品に君臨。全店年商は4億円に達する。当初は仙台「主婦の店さいち」の「秋保のおはぎ」をオマージュ。惣菜担当者が同店の厨房で働きながら原料・製造・販売に至るノウハウを習得。さいちの佐藤店主から合格を得た後、長年かけて地元の味覚に調整し完成させた。
昨今、おはぎのあんこを活用し、新潟銘菓「ぽっぽ焼き」風の生地を鉄板で焼いた「新潟ぽっぽろうる」を発売。スティックどら焼きのような新感覚で人気を呼んでいる。
●最も原信ナルスらしい365×3サラダライフ
「野菜を食べることでお客さまに健康になってほしい」として、365日×(朝昼夜の)3回の食卓にのぼるイメージで提案。365×3回分の需要が見込め、多彩な商品を幅広く提案できることから、同社の主カシリーズになっている。
同シリーズは、「サラダ売場とはどうあるべきか」という消費者の購買シーン視点で売場づくりを考え、部門のくくりにとらわれることなく、惣菜、青果から加工食品に至るまで、「サラダ」という共通テーマの商品を打ち出す取り組みとして始まった。
これが軌道に乗ったことが、その後の同社における「食シーンに連動する売場づくり」「部門のくくりを越えた商品提案」という姿勢を決定づけた。同社のスタイルを象徴する「最も原信ナルスらしい商品」シリーズだ。
「愛知県産キャベツ千切り 中」 106円(税込み)/約160g
「国産カットトマト」 139円(税込み)/約160g
店内でカットするだけの野菜だが、即食ニーズから需要は高い
「軟骨つくねと金平の和サラダ」 430円(税込み)/約280g
肉惣菜と合わせ、メイン料理にもなるサラダも幅広く提案
POINT=おかずにも、おつまみにも好適なミールサラダ
●365×3サラダライフ 人気トップ5
多彩な食材と組み合わせ、さまざまな食事シーンに対応した「サラダ」として提案する、というコンセプトが秀逸。人気トップ2は店内加工で野菜をカットしただけというシンプルな商品というのも興味深い。
1位 レタスカット(中) 108円(税込み)
2位 キャベツ千切り(中) 106円(税込み)
3位 ローストビーフdeチョレギサラダ 430円(税込み)
4位 オマールソースのシュリンプポテトサラダ 387円(税込み)
5位 ぷりぷりえびのオーロラソースサラダ 387円(税込み)
◆店名=原信・ナルス(合計80店舗/本社・新潟県長岡市、上越市)
惣菜売上比率約10%(アクシアル リテイリング全体)
◆社名(本社所在地)=(株)原信(長岡市)、(株)ナルス(上越市)/創業=1967年(母体・原信)/年商=1,904億9,400万円(両社合計)/店舗数=原信68店舗、ナルス12店舗/事業概要=原信とナルスはアクシアル リテイリンググループの中核として一体で経営されており、グループ会社の原信ナルスオペレーションサービスが両社の商品調達・開発など後方業務を担っている。