デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(7)首都圏 サミット
◆月販7万食・月商4000万円の新名物 鮮度第一に店内調理を徹底
首都圏に123店舗を展開する「サミット」は「日本のスーパーマーケットを楽しくする」を理念に「ワクワクの演出」を推進。その象徴がデリカ事業の強化だ。同規模のスーパーならデリカセンター(加工工場)を有するのが一般的だが、作りたての鮮度にこだわる同社は、人手を尊重する店内調理に注力。添加物を極力抑え、素材の持ち味を生かし、飽きないおいしさを探究。そのポリシーを開花させたのが「牡蠣めし&かきフライ弁当」の大ヒットだ。
●発売1ヵ月でカツ丼に並ぶ大ヒット
「牡蠣めし&かきフライ弁当」 598円(税抜き)/約335g
POINT:鮮魚出身のバイヤーが知見を発揮
本品は2024年8月下旬にプレ発売。全店導入した10月は月販7万食、月商4000万円を突破する大ヒットを記録した。半年分を見込んだカキの在庫が切れてしまい、翌月から提供数を抑制。在庫を確保した年明けから復活。陳列待ちのリピーターが現れるほどの人気ぶりだ。
自慢は大粒25~30gの広島県産カキを使った「カキフライ」と、茶飯に蒸しカキの濃厚な蒸し汁が混ぜ込まれている「カキ飯」の合い盛り。1食でカキ三昧を堪能できる。大ぶりの見栄えよい煮物、できるだけ添加物を抑えた桜大根と皮付きのきんぴら、レモンとイクラのアクセントなど、脇役と配色のセンスも秀逸。黄身感の濃いタルタルソースの調味も光る。
商品開発を担当したのは総菜部バイヤーの鈴木拓真さん。入社後、店舗の鮮魚部に8年間勤めた後、現職に就いた。その知見が本品のこだわりに発揮されている。
「カキの持ち味を生かすためパン粉と衣は極薄に。蒸しカキの加熱時に抽出された蒸し汁を茶飯(混ぜご飯)の調味に活用。カキの魅力を100%出し切るよう努めました」と語り、「カキフライもカキ飯も単品で主役を張れるだけに、合い盛りにする発想は、ありそうでありませんでした。それだけにグルメ感は抜群。カキ好きにはたまらないでしょう」と説く。
同社デリカ部門における長年定番の人気商品は全店月商4000万円に達するカツ丼(2種合計)だが、本品は発売1ヵ月で肩を並べる大ヒット。また、デリカ弁当で598円はやや割高だが、十分すぎる満足評価により、むしろ割安感が先行。デリカ全体にお得なイメージが波及し、弁当類の客単価アップにも期待が広がっている。
●リニューアルで前年比150%を突破!
「海老と野菜の天ぷら盛り合わせ」 298円(税抜き)/約133g
POINT:MD本部長の肝いりで店内調理徹底
天ぷら類は2024年のリニューアル後、売上げは前年比150%を突破。サミットが誇る店内調理の象徴に台頭している。スーパーの天ぷらは、惣菜工場で仕込んだプリフライ(仮揚げ)を店舗に配送し、店内厨房で揚げることが多い。対して同店は、衣付け、手揚げに至る調理工程を店内厨房で実施。薄い衣の食感がよく、油っぽさが軽く、鮮度感を実感できるおいしさが好評を得ている。厨房作業は大変だが「温かい商品はトコトン店内調理を推進」と言い切るデリカ上がりのMD本部長肝いりの逸品だ。
●みずみずしい風味と食感が格別
「トマトのサラダ」 大 258円(税抜き)/約311g 小 188円(税抜き)/約131g
「えびとアボカドのサラダ」 198円(税抜き)/約120g
POINT:脱「脱水」の店内カットで鮮度抜群
デリカ同様、店内調理の鮮度を誇るのが青果売場のフレッシュサラダ各種だ。青果部門の店内厨房で野菜をカットし、作りたてを提供するので、みずみずしい風味と食感が抜群。約10種類で店舗日販100~600食(店舗により異なる)の繁盛ぶりを誇る。
惣菜工場で生産するアウトパック製品は、菌数管理と日持ち延長の観点から、水分量を落としてから出荷する場合が多い。対して店内調理のフレッシュサラダは、当日製造・完売の管理を基本とし、カット野菜のみずみずしい鮮度が際立つ。当店では「パサつかず食べやすい」との好評を呼び、毎日の購入客も珍しくないリピート必至の看板商品に定着している。
フレッシュサラダコーナーを導入した2011年から販売されている「トマトのサラダ」は、トマト、キュウリ、キャベツ、リーフを合わせた基本モデルで、コーナー売上げの約25%を占める一番人気を継続。サラダ売場の活性をけん引している。また季節感を訴求するため、約1~2週ごとに季節サラダ1品を打ち出し、常に2~4品の季節サラダを提供。バラエティーと見栄えを充実させている。一方、果物を扱う青果部門ならではのフルーツサラダ、他部門と連携したミールサラダの開発にも積極的だ。
青果バイヤーの金森健人さんは「おいしく、飽きず、毎日食べたくなるサラダはカット野菜の鮮度が命」と語り、「八百屋(青果部門)らしく、素材と鮮度で季節感や彩りを表現・演出できるよう、商品開発と売場設計に努めています」と胸を張る。
●店舗情報
「サミット」(123店舗/首都圏) 惣菜売上比率15%前後(チルド製品・生鮮売場を含む)
サミット(株)/本部所在地=東京都杉並区永福3-57-14/設立=1963年/年商=約3,340億円(2024年3月期)/従業員数=約3,300人(正社員)/店舗数=首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)スーパー123店舗を展開