2025年4月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●41ヵ月連続で前年比増収達成
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年4月度売上げは、前年同月比6.0%増となり、41ヵ月連続の増加を記録した。
4月は上旬が春休み期間、下旬もゴールデンウイークが始まる時期となり、春の行楽シーズンによる外出機会に加え、企業の人事異動に伴う歓送迎会や学校の新入学行事が重なり、全体でみると外食需要は昨年同様、好調さを維持することができた。客数は前年同月比0.9%増、客単価は5.1%増となった。
業態別で見ると、前年比を下回った業態は、3月の22業態から16業態まで2ヵ月連続で減少した。5%以上減少したのが1業態、3ヵ月連続で前年を下回った業態は11業態、13ヵ月平均で100%を割ったのは前月同様10業態となった。
3月と同様だが、年間を通じて比較的好調な4月を迎えたものの、年末年始から続く低迷から脱却できていない業態が減っていないことから、値上げによる客離れが続いていることがわかる。
●ラーメン店のM&A増加傾向に
昨年あたりからラーメン店の倒産、廃業がニュースになる機会も増えているが、その一方で今年に入り、主に外食大手チェーンが中小のラーメンチェーンや個性的なラーメン店を買収する事例が増えてきている。
最近も、壱番屋(ココイチ)が2023年に「麺屋たけ井」を展開する竹井(京都府城陽市)、24年に「極濃豚骨らーめん小僧」などのKOZOU(大阪府)を買収したが、今年に入ってからは前半だけで既に6件のラーメン店のM&Aが成立している。以下にその内容を見ていきたい。
◆2月
▽飲食店や宿泊施設向けマーケティング支援のCS-C
「汐そば屋」などラーメン8店舗(取得対象7店舗)を運営するプレディア(東京都目黒区)の子会社化で合意。
◆4月
▽博多ラーメン「一風堂」を展開する力の源ホールディングス
「楓」「奏」の2ブランドで、味噌ラーメン店を都内と神奈川県に8店舗展開するライズ(東京都大田区)を子会社化。
▽ラーメン「一刻魁堂」や中華「ロンフーダイニング」を展開するJBブレイン
ラーメン・つけ麺の「フジヤマ55」などを海外含め60店舗運営する55style(名古屋市)を子会社化。
▽他業態を展開するクリエイトレストランツ
つけ麺「狼煙」を5店舗運営する狼煙(さいたま市)を子会社化。昨年12月にも、甘エビのスープが特徴のラーメン「えびそば一幻」の一幻フードカンパニー(札幌市)を買収済み。
◆5月
▽焼肉チェーンの「あみやき亭」
買収したクーデションカンパニー(京都市)は、焼肉・ステーキ店を中心に、ラーメン「京都ラーメン たかはし」を展開している。
◆6月
▽「京都北白川ラーメン魁力屋」をチェーン展開する魁力屋
有名ラーメン店「肉そばけいすけ」、「札幌みその一期一会」など19店舗運営するグランキュイジーヌ(東京都中央区)を買収すると発表した。23年12月の上場以来、初となる買収案件。
ラーメン業態は、「1000円の壁」があるといわれており、昨今のコスト増を価格転嫁することが難しい業態とみられているが、一方でインバウンド客を意識したエンタメ系や、素材や具材にこだわったグルメ志向の高価格帯ラーメンなど、さまざまなヒット店も次々と誕生している。今後もラーメンM&Aには注目していきたい。