次なるトレンドを先読み NEWキーマカレーのブーム到来か!?
【HENDRIX CURRY BAR】キーマ・マトン 1,200円(税込み) 超粗挽きにしたマトンを使用。サフランライスとナンが選べ、さらには1/2ライス+1/2ナンも可能。「キーマカレーはライス、ナンのどちらにも合う」と、若林店主
【分子栄養学キッチン カレーライフバランス】日替わりカレー1種盛り(山椒味噌キーマ) 990円(税込み) 「ジンジャーポーク」「シーフード」「ひよこ豆のキーマ」など、日替わりで用意したカレーの中からチョイスする。写真は「山椒味噌キーマ」に「スパイス煮卵」(150円)と「塩麹とヨーグルトのみで作ったクリームチーズ」(200円各税込み)をトッピング
今、個性派キーマカレーが注目されている。従来のキーマカレーのカテゴリーを超え、独自のアレンジを加えた新タイプのキーマカレーはその店でしか味わえないことから、一度ハマッたら高頻度で食べたくなる強い吸引力がある。また、現在注目されている個性派キーマカレーは、スパイスカレーの潮流を汲み、盛り付けに“映え”の要素を取り入れている例が多いことから、SNSでのアップも急増している。今号は従来のキーマカレーを独自のアレンジで進化させた4店舗を取材した。
●ゴロゴロ粗挽きマトン使用「カレーというより肉料理」
POINT:マトンのキーマ
キーマカレーにマトンを使うのは日本では少し珍しい。ランチではカレーをメインに提供し、夜はBARを展開している「HENDRIX CURRY BAR」で人気のキーマカレーはマトンが主役。インドでは羊肉がよく使われていることからマトンを採用し、マトン9に対し、豚肉1の合い挽き肉を使っている。マトンを一般的な挽き肉よりも粗い約1.5cm径で挽いているのも大きな魅力だ。「キーマカレーは肉々しさが持ち味。“肉を食べている”という強い食感を出したかった」と、若林剛史店主。噛みしめるとギシギシとした力強い食感と共にマトンのうまみが味わえ、「キーマカレーは肉料理です」と若林店主は言い切る。
スパイスの使い方も特徴的で、ホールスパイスを炒めて肉に香りを移し、パウダースパイスを合わせ、さらにシナモン、グローブ、黒コショウ、八角、メースなどを中挽きにしたものと手作業で取り出したカルダモンの種を加えている。「キーマカレーはどこを食べても同じ味で単調になりがち。最後まで飽きずに食べられるようにした」との若林店主の狙い通り、数種のスパイスが口の中でプチプチと弾けて香りが広がり、ひと口ごとに異なる香りの驚きが楽しめる個性的な一品に仕上がっている。
〇店舗情報
「HENDRIX CURRY BAR(ヘンドリクス・カリー・バー)」
東京都渋谷区神宮前2-13-2 ユハラアネックスビル1階
●スパイス×パクチーの意外なほどの好相性
POINT:パクチーたっぷり
間借りカレーで評判を呼び、20年3月に現在の立地にオープンした「ケニックカレー」の「パクチースペシャル」は、キーマカレーにパクチーを敷き詰めるという発想が光る。同店のキーマカレーは茨城県産のいも豚肉をゴロゴロ感のある粗挽きにし、香ばしく炒め、数種のスパイスを合わせて無水調理で仕上げている。粗挽き肉を香ばしく炒めたキーマカレーは、ジューシーな肉々しさが際立つ仕上がり。炙りチーズ、半熟卵とフライドオニオンを合わせて味に厚みを出している。
これだけでも味わいは完成されているが、さらにパクチーの香りが加わるとヤミツキ度が俄然高くなる。無農薬有機栽培のパクチーを約50g使っており、パクチー好きのリピーターも多いようだ。キーマカレーと組み合わせるとパクチーの独特の香りが穏やかに感じられるためか、同品でパクチーを克服したという声もよく聞かれるという。
同店の発想力は他のメニューでも見られた。夏季限定メニューの「鰻と和風キーマ&冷やし出汁カレー」は、キーマカレーに山椒で風味をつけた冷たい和だしを合わせ、鰻をのせてさらに西京味噌と鰻をペースト状にしたものをトッピング。唯一無二のキーマカレーと言っていい冷やしカレーだ。
〇店舗情報
「ケニックカレー」
東京都渋谷区宇田川町13-9KN渋谷2ビル4階
●和風だし+山椒味噌 体が喜ぶニッポンの味わい
POINT:山椒味噌の和風味
東京・高円寺の「カレーライフバランス」では、「食べ物が体の中でどう働くか」をミクロの視点で捉える「分子栄養学」を意識したスパイスカレーを提供。同店のカレーはグルテン、化学調味料などは使わず、天然塩、圧縮一番搾り菜種油を使用し、十八穀米のご飯を合わせるなど健康感が高い。大西直輝オーナーは、スパイスを使って味作りをする点からも「健康メニューにスパイスカレーは適している」と考えたという。高円寺の立地から「劇団員のデリバリー注文がよく入るが、公演前に食べても『お腹にもたれない』と好評」(大西オーナー)という。
同店では名物のカレーを「こっち側のカレー」と称している。
大西オーナーによると「外食店のスパイスカレーは見た目も豪華で味も複雑。当店は実家で食べるような馴染みのあるスパイスカレーを目指していて、あっちのカレーに対し、うちは『こっち側のカレー』。スパイスの調合などを追求するとすぐにレベルの高い『あっち側』になってしまうので難しい」。
人気の高い「山椒味噌キーマカレー」は、牛豚の合い挽き肉を使い、鰹、昆布の和だしをベースにした山椒味噌を合わせており、どこかニッポン風のまさに“こっち側”の味わいだ。
〇店舗情報
「分子栄養学キッチン カレーライフバランス」
東京都杉並区梅里1-18-12ニュー高円寺コーポラス101
●とろ~りチーズの中からキーマカレーが登場
POINT:チーズで覆い尽くす
「みのりんご」では、「チキンカレー」「ポークカレー」「ビーフカレー」など、タイプの異なるカレーを提供しているが、一番人気は「キーマチーズカレー」だ。牛豚の合い挽き肉を使い、飴色に煮込んだみじん切り玉ネギ、スパイスと合わせたキーマカレーを、注文が入ったらフライパンで加熱し、ご飯の上に惜しみなくかけている。「キーマカレーは“肉を食べている”感が重要。やはりカレーの部分をしっかりと楽しんでほしいので、うちは『ザ・肉カレー』というほどぎっしりと肉をのせている」と、風間実店主は言う。
太っ腹なキーマのボリュームと共に、カルダモンの利かせ方にもこだわっている。手でむいたカルダモンの種を合わせることで、食べているとプチプチとカルダモンが口の中で弾け、爽やかな香りがよいアクセントになっている。
そして、同品の最大の魅力でありビジュアルの強さにもなっているのが、キーマカレーを覆い尽くすとろとろのチーズ。4種類のチーズを合わせ、フライパンで熱して溶かしてからたっぷりとかけている。スプーンですくうとチーズがとろりと伸び、その中からキーマカレーが出現するのが楽しい。
〇店舗情報
「みのりんご」
東京都渋谷区神宮前1-22-7 1階
◆カレー総合研究所発・トレンド予測 「第2世代キーマカレー」が外食シーンを盛り上げる
カレー専門コンサルティング会社のカレー総合研究所でも「第2世代キーマカレー」としてキーマカレーに注目している。同研究所は、「挽き肉を用いた煮込み料理」という従来のキーマカレーの枠組みが拡張した「高度な多角性」と「調理の自由度」を備えたキーマカレーを「第2世代キーマカレー」と定義。同研究所がカテゴライズする第2世代キーマカレーの進化系統は以下だ。
【和風・出汁系(和キーマ)】
「山椒」「味噌」「鯖」、昆布などの合わせだしを融合させたスタイル
【視覚インパクト系(黒&白キーマ)】
味だけでなく、写真映えと素材の凝縮感を両立させたカテゴリー
【ヘルシー系(薬膳キーマ)】
健康意識の高まりを受け、油分は最小限、素材に挽き肉以外を使用
【激辛・刺激系(スパイスキーマ)】
「香りの暴力」とも称される鮮烈なスパイス使いや突き抜ける辛さを追求する層に向けた進化形
【地域特性系(ご当地キーマ)】
地域ごとの食材をテーマとしたキーマカレー














