アポなし!新業態チェック(204)「MOM’S TOUCH(マムズタッチ)」渋谷店
●韓国で急成長のチキンバーガー上陸 創業から30年足らずで最大規模、ロッテリアを抜き韓国トップに
韓国で最大規模のチキンバーガーチェーンである「マムズ タッチ」が4月、東京・渋谷に1号店をオープンした。同ブランドは昨年10月、同じ渋谷の道玄坂下に期間限定店を出店し、約3週間の営業で、延べ3万3000人を集客し大成功を収めた。今回の店舗は、渋谷駅前のスクランブル交差点から原宿方面に向かってすぐ、昨年「マクドナルド」が撤退した店舗跡地への出店だ。
同店のグランドメニューは、バーガーとチキン、サイドメニュー、ドリンクというごくシンプルな構成。バーガーは、鶏もも肉を使った「サイバーガー」(520円)と「ダブルサイバーガー」(840円)、「チーズサイバーガー」(570円)、韓国のオリジナル風味「本格プルコギバーガー」(550円)の4種類。「ダブルサイバーガー」はドリンクとのセット(コンビ)がプラス140円。他の3種類はプラス330円でドリンクとポテトのセットになる。その他にも、独自のバーガー商品がその都度、期間限定で導入されるようだ。
チキンは「骨なしフライドチキン」(2ピース450円、4ピース850円)、「骨なしヤンニョムチキン」「骨なしニンニク醤油チキン」(各:2ピース490円、4ピース900円)という3種類で、それぞれ8ピースのテイクアウト商品もある。ドリンク類は「コカ・コーラ」(各180円)やジュースなどで、ホットドリンクはない。サイドメニューはポテトのみ。
今回の1号店も非常に好調な滑り出しで、今後の動向が注目される。(価格は税込み)
★けんじの評価
ネットとデジタルを活用、若者を吸引
同店を運営するのは日本法人のMOM’S TOUCH TOKYO。同ブランドは1997年の創業で、法人設立は2004年。14年に500店舗、16年に1000店舗を達成し、21年にロッテリアを抜いて店舗数で韓国最大のバーガーチェーンとなった。韓国国内の店舗数は1420店舗を超える(24年2月)。また、日本のほかにタイに6店舗、モンゴルに4店舗、アメリカに1店舗を展開しているという。
同店の客席は地下と2階だが、1階は商品の受け取りのみで注文カウンターはない。同店の注文方法はすべてセルフ方式なのだ。店舗の入口で従業員に店内利用と告げると、地下か2階の客席で注文してくれと案内される。商品は、客席のQRコードをスマートフォンで読み取るか、客席フロア内に設置されているセルフ端末で注文する。注文端末では現金や交通系電子マネーなども使用可能だ。精算後に発行される受付番号で、その商品がいつ提供されるかを店内のモニターで確認し、1階の受け取りカウンターに取りに行けばよい。
この仕組みのため、来店客はデジタル機器を扱い慣れた若い客層が圧倒的だ。こうした客層には、SNSやオンラインのクーポンなどを活用した販促の効果も大きく、販売やテーブルへの提供といった作業がないので従業員の負担も少ない。同店はファストフードには珍しく、テーブルチェックによる客席予約も行っている。
さて、同店は果たして他の国内チェーンにどのような影響を与えるだろうか。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
店名=「MOM’S TOUCH(マムズタッチ)」渋谷店
開業=2024年4月16日/所在地=東京都渋谷区神南1-23-1
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/