業務用卸覆面座談会:仕入れ担当者の本音 業務用食材、人手不足対応ますます進展

2024.10.07 548号 08面
【A氏おすすめ】ブルドックソース「桐生ソースかつ丼ソース」

【A氏おすすめ】ブルドックソース「桐生ソースかつ丼ソース」

【B氏おすすめ】キッコーマン食品「マンズワインマンズ・煮切りタイプ赤ワイン 調理用」

【B氏おすすめ】キッコーマン食品「マンズワインマンズ・煮切りタイプ赤ワイン 調理用」

【C氏おすすめ】日清製粉ウェルナ「パクッとチュロス」

【C氏おすすめ】日清製粉ウェルナ「パクッとチュロス」

【D氏おすすめ】三共食品「フライドガーリックあら挽き」

【D氏おすすめ】三共食品「フライドガーリックあら挽き」

【E氏おすすめ】ロッテ「匠のジェラート 茶師十段監修 和紅茶」

【E氏おすすめ】ロッテ「匠のジェラート 茶師十段監修 和紅茶」

 ◇業務用加工食品ヒット賞プレ選考委員会から

 思いがけない採用事例続出

 「第28回業務用加工食品ヒット賞」は全国有力卸77社のモニターアンケート結果を踏まえ、業務用卸団体トップの選考委員会で決定された(本紙9月号で特集掲載)。選考会の前にプレ選考委員会として首都圏業務用卸の商品部関連の5氏を招き、覆面座談会を開催。売れ筋商品など、仕入れ担当者の本音を聞いた。座談会の一部を抜粋して掲載する。(開催=6月21日、場所=日本食糧新聞社本社、司会=外食レストラン新聞編集部)

 ●小容量と完調品好調 PBF、商売成り立ちづらい

 –外食の市況は。

 A氏 ゴールデンウイーク(GW)需要が一気に伸びたため、その反動でGW明けは荷動きが悪くなるかなと思っていましたが、やっぱりその通りになっています。

 当社は、個人店の客先が多いのですが、閉店が増えています。光熱費や原料の値上がりにメニューの値上げが追いつかない、後継者がいないためという話をよく聞きます。

 一方、テレビなどで「町中華」が取り上げられ、若い客層を集めています。繁盛店と不採算店の二極化が進んでいると感じています。

 –商品ニーズの変化をどう感じていますか。

 A氏 調味料などは小容量化しています。小麦粉なども25kg袋から10kg袋、調理油も一斗缶から小容量を求める客先が増えています。

 B氏 この3年ぐらい、値上げ対応に追われ、卸も客先も商品一品一品を選定する余裕がなく、そのまま値上げをのむしかない状況でした。しかし、最近は商品を精査するようになってきました。

 物価の上昇と賃金の上昇がつり合っていない状況で、ラーメン一杯1000円を超える店が当たり前にある一方、超えられない店もあるなど二極化の中で、安い商品を求められる客先も増えてきています。現実的には安い商品はないのですが、その中でも類似品があったりするので代替品が求められます。

 –人手不足で冷凍食品の完全調理品が好調と聞きますが。

 B氏 自然解凍が可能なマルチ調理対応の完全調理品に注目が集まっています。最近、「多少高くていいから自然解凍で簡単に提供できる商品を提案してほしい」といった依頼が増えており、採用も進んでいます。ただし、ある程度単価が取れる業態という条件付きです。

 C氏 商品を売ることは、客先に差別化を提案することです。価格は少し高いけれど、それ以上の価値を認めていただけるかということです。しかし、これが難しい。極力安い方がよいという声も根強いです。

 皆さんにお聞きしたいのは、プラントベースフード(PBF)の状況です。インバウンドが盛り上がっています。宗教的・哲学的なことなどで、PBFを必要とするニーズが増えているにもかかわらず、日本ではそのニーズにマッチした飲食店が少ないという意見を聞きます。実際に都内で、PBFを提供している飲食店を見に行くと、外国人ばかりです。スマホで検索すると、そこしかないから長蛇の列です。

 しかし、われわれの客先ではPBFはほとんど売れない、なかなか商売としては成り立たないというギャップがあります。過去最高のインバウンドがあってニッチなニーズも増えるはずなのに、われわれの得意先には恩恵がないというのはもどかしいです。品揃えが充実してきて、メニューが広がってくれば、もう少し増えるかなとは思っています。

 人手不足は深刻です。メーカーは「人手不足を解消できます」といろいろな商品を提案してきますが、正直もういいというのが本音です。人手不足だけではなくプラスアルファの提案をお願いしたい。もう人手不足対応って言葉だけでは響かなくなっています。

 D氏 コロナ前から外食業界は慢性的な人手不足でした。そしてコロナを挟んで人手不足に拍車がかかって、人手不足対策の商品に対する許容範囲が広がったように感じています。

 コロナ禍の中、人手不足なので試しに使ったら「案外使えた」とか「おいしかった」「ここまで進化していた」といったことを実感されて、採用になるケースが、コロナ以降で多くなりました。今まで提案できていなかった客先に、以前は「こんな提案は怒られるんじゃないか」と自粛していた提案が、今ではできるようになり、話も聞いてくれるようになっています。そして実際に、使っていただけるようになっています。完全に素材から加工品に置き換わっている訳ではないですけれど、置き換えられる許容範囲が広がっています。業務用食材のチャンスが広がっていると思います。

 E氏 今まで自らガラから炊いていたラーメン屋が、業務用のガラスープを使うようになったという例もあります。人手不足の理由が、募集しても人が集まらないこともあるけれど、人を雇うにも時給が1500円とかになると、それだけの時給を払うなら、1人か2人でオペレーションができる商品を使いたいという考えの経営者も増えています。

 D氏が言われたように、これまで提案しなかった商品も、提案するとそのまま採用されるケースは増えています。そういったところはやっぱり以前と比べて変わってきているのかなと思います。

 ●町中華のテークアウト用に 冷凍チャーハン提案

 –売れている商品など実例は。

 A氏 理研ビタミンの「ふりかけるザクザクわかめ 韓国風ごま油風味」です。居酒屋で冷奴の上にかけるなど、水分が多い食材でも形が保たれて見栄えもいいです。創味食品の「みぞれあん」は、かけるだけで見栄えよく、おいしいので、すごくいいです。

 B氏 ニチレイフーズの「素材そのままブロッコリー」は、価格が高騰して生鮮から冷凍にシフトしている中で素材の味が良くて注目されています。価格は高いけれど、価値を認めていただけるところにははまっています。

 それとマルハニチロの「サクッとかる~いごぼうチップス」は重宝できる商品です。飲み放題の居酒屋がどこで利益を出すかというとフードです。だからフードを多く注文してほしい。「ごぼうチップス」はかさがあるわりには軽くて、女性でもお腹いっぱいにならなくてもう一品、何か頼もうとなります。

 C氏 冒頭でA氏が言われましたが、調理油の一斗缶は重くて卸、ユーザーともに持ち運びが大変です。「ピロー容器食用油」は軽くて、作業環境改善に役立ちます。また、都内はスペース問題があるためダンボールだと積み重ねられることもあって需要が高まっています。

 それと「冷凍チャーハン」です。「町中華にニチレイフーズの『パラッと炒めチャーハン』は提案できない」と思っていましたけど、テイクアウト用には冷凍チャーハンを使うという新たなニーズが出ています。経時に強いので理にかなっています。

 D氏 「ポテトサラダ」です。いろいろなメーカーからバラエティーに富んだ「ポテトサラダ」が製造されていますが、良い商品はいつのまにか横展開しています。しかし、これはメーカー営業マンの熱量にも大きく左右されます。

 E氏 ヤマサ醤油の「三角クラフトコーラ」です。高いけれど、瓶1本を炭酸で割って1杯分ができるので、量らなくてもいいからオペレーションが簡単。ゴルフ場など1杯1200円ぐらいの価格が取れる所に採用されています。展示会に来場された客先にサンプルを持っていったら採用されるケースが多かったです。レジャー施設やゴルフ場が多いですが、カフェ、キッチンカーのユーザーにも広がっています。提供の仕方やストーリー性も面白いので、はまる所にははまります。

 ●金曜の午後問題 リードタイムなど懸念

 –現状の課題は。

 D氏 いろいろなユーザーが、それぞれこだわりを持ったお店作りをされています。業務用卸は、それぞれのお店にマッチした提案を考えていますが、メーカーは新商品を面で売っていきたい。互いの意識のギャップを感じます。

 C氏 実は、チルド品は売れ筋商品がたくさんあります。しかし、なかなか結果につながりません。

 「ポテトサラダ」もレベルの高い商品が揃っていて、個人的に売れると思うのですが、在庫の壁があります。これは業務用卸共通の悩みだと思います。それと二つめの壁にバラ出荷があります。

 ヘビーユーザーが付いて、バラでも対応できれば、すぐ売れる商品はいっぱいあります。売れるポテンシャルは高いけれども、それが発揮しきれないというのはもどかしいです。

 それと「金曜日の午後問題」というのがあります。金曜日の午後に客先から注文があったとします。当社がメーカーに発注するのは月曜日、入荷されるのは中1日で水曜日、客先への配送が木曜日と1週間後です。客先からしたら「何を考えているんだ!」ということになってしまう。リードタイムや物流の問題は、これからいろいろ出てくるのではないでしょうか。

 ◆座談会出席者プロフィール

 A氏(47歳、趣味=海釣り)、B氏(42歳、趣味=家系ラーメン店巡り)、C氏(45歳、趣味=プロ野球観戦、ドラゴンズファン)、司会、D氏(51歳、趣味=居酒屋巡り)、E氏(45歳、趣味=フルマラソン)

 ◇こっそり教えるわが社のおすすめ

 A氏:ブルドックソース「桐生ソースかつ丼ソース」 事業所、学食のイベントに

 群馬県桐生市のご当地グルメ「桐生ソースかつ丼」が味わえる、桐生ソースカツ丼会監修のソースです。事業所給食や学生食堂のイベントメニューでの導入例が多く、好評でした。規格=1170g(常温)

 B氏:キッコーマン食品「マンズワイン マンズ・煮切りタイプ赤ワイン 調理用」 人手不足、光熱費高騰などの問題解決

 一般的な調理用赤ワインと置き換えるだけでワインを煮切る時間や手間の軽減につながります。人手不足や光熱費高騰などの問題解決商品として数多く導入されました。規格=1.8L(常温)

 C氏:日清製粉ウェルナ「パクッとチュロス」 デザートのトッピングに

 約4.5cmの食べやすいサイズのチュロスです。「チョコ味(チョコソース入り)」「抹茶味(こしあん入り)」の2種類があります。飲食店チェーンのデザートのトッピングとしてグランドメニューに採用されました。規格=500g(冷凍)

 D氏:三共食品「フライドガーリック荒挽き」 業態問わず伸びている

 ニンニク本来のうまみと香りを大切にした、ニンニクチップの粗びきタイプです。トッピングはもちろん、さまざまな料理の隠し味にもオススメです。特にPRはしていませんが、業態問わず伸びています。規格=200g(常温)

 E氏:ロッテ「匠のジェラート 茶師十段監修和紅茶」 アッパーなカフェ、レストランに

 茶師十段監修和紅茶を使用したこだわりの品質です。紅茶の程よい渋みが生きた大人向けのミルクティージェラートです。少しアッパーなカフェやレストランなどに採用されています。規格=2L(冷凍)

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