メニュートレンド:串に刺さない焼き鳥「とりやき」で差別化 「とりやき 源氣」

2014.04.07 421号 02面
奥が「とりやき 半身焼き(塩・たれ)」。骨付きもも肉、胸肉、手羽先の3種盛り。手前は「胸肉のゴルゴンゾーラチーズ焼き」。

奥が「とりやき 半身焼き(塩・たれ)」。骨付きもも肉、胸肉、手羽先の3種盛り。手前は「胸肉のゴルゴンゾーラチーズ焼き」。

赤提灯など従来の焼き鳥屋のイメージを程よく取り入れた外観で親しみやすさを演出している

赤提灯など従来の焼き鳥屋のイメージを程よく取り入れた外観で親しみやすさを演出している

 「とりやき 源氣」の経営会社は、全国で244店舗の飲食店を展開している(株)ダイナック。同社は、鶏料理をメーンとした「鳥どり」を都内にすでに24店舗展開しているが、都心部にこだわらず出店可能な地域を広げることを目標として立ち上げたのが「とりやき 源氣」。その1号店が1月29日、小田急線・町田駅から徒歩1分の立地にオープンした。同店では、商業地区と住居地区がミックスした地域ならではの誰でも気軽に立ち寄れる店づくりとメニューづくりを成功させている。

 ●塊のまま焼き上げたジューシー感がウリ 多店舗化を見据えた1号店を町田にオープン

 飲食店街に焼き鳥屋はつきものだ。しかし、よくある焼き鳥屋を踏襲した店を出しても、集客するのはなかなか難しい。従来型の焼き鳥屋との差別化は図りたいところだが、「町田」という土地柄を考えると、突出したユニーク感は受け入れられにくい。

 「この店は、ここで働く人や住む人が、老若男女を問わず気軽に立ち寄れる“地元の店”を目指しています。でも、この地域にも焼き鳥屋はたくさんありますからね、今まで通りの焼き鳥屋では、新参者は太刀打ちできません。お客さんが慣れ親しんできた焼き鳥屋のいい意味での“コンサバ感”を取り入れつつ、一方で“今っぽさ”を出していきたいと思っています。そのさじ加減が難しかったですけどね」と語るのは業態開発部長の前川晋二氏。

 「コンサバと今っぽさ」の中間を目指す店づくりのコンセプトは、もちろんメニューにもあらわれている。同店では「串に刺すのは焼き鳥。刺さないのがとりやき」をキャッチフレーズに、丸鶏で仕入れた鶏肉を注文に合わせて胸肉、骨付きもも、ささ身などの部位に切り分け、塊のまま焼いてから食べやすい大きさにカットして提供する。味は食べ慣れた親しみのあるものだが、串に刺さないだけで見た目が大きく変わる。「定番と新しさ」がコラボした一品だ。

 部位ごとの塊で焼くメリットは、見た目を変えるだけはない。肉汁が逃げずにジューシーに焼き上がることも大きなメリットだ。看板メニューの「とりやき 半身焼き」の胸肉は、胸肉にありがちなパサつき感がまったくなく、軟らかくしっとりと焼き上がっている。さらに、肉を小さくカットして串に刺す手間がない分、厨房のオペレーションも簡略化できる。注文次第で余った部位は、お得価格の「オススメ」で提供し、ムダなく消費している。

 当初の予想を上回る集客に成功したポイントはメニューはもちろん、お値打ちな価格も見逃せない。それを可能にしたのがブロイラーの使用。「鶏肉は国産ですがブロイラー。生産者の方も努力されていますからね、ブロイラーは軟らかくてジューシーでおいしい。コスパを考えると実に優秀な素材です」

 1号店を成功させた「とりやき 源氣」は、すでに2号店の出店を視野に入れている。

 ●店舗情報

 「とりやき 源氣」 所在地=東京都町田市森野1-35-2 大竹ビル1F、電話042・720・2081/開業=2014年1月/営業時間=午後5時~翌午前0時、無休/坪数・席数=18.5坪・店内42席 テラス席12席/客単価=2300円/1日の平均来店客数=70人

 ●愛用資材・食材

 「ちゃたんの塩」 沖縄北谷自然海塩(株)(沖縄県中頭郡北谷字宮城1番地650)

 素材の味を引き立てるまろやかな塩

 沖縄産の海水塩100%使用。海水を低温(65度C)でじっくり煮詰めることでまろやかな塩に仕上がる。カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル成分が豊富。「とりやき使用する塩は、これと伯方の塩をブレンドしています。塩かどがなく、ほのかな甘味が感じられる優しい塩で、鶏肉のうま味を引き出してくれますね」

 規格=1kg

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