メニュートレンド:ビールフォンデュ 串しゃぶとチーズフォンデュのユニークコラボ
冬場に人気のチーズフォンデュに、独自の味をプラスしたのが、京都ダイニング 市場小路ジェイアール京都伊勢丹店の「ビールフォンデュ」。ビールを加えただしで食材を煮て、チーズをコーティングするユニークなスタイルが人気を呼び、同店の通年メニューとして定着している。フォンデュの可能性を追求した、名物鍋の魅力を探ってみた。
京都ダイニング 市場小路は、京都の老舗洋食店、スター(株)が運営するレストラン。なかでも、市場小路ジェイアール京都伊勢丹店は、京都の玄関口にある店として、旅行者から固定ファンまで幅広く利用されている。
同店では、生ビールをはじめとする多彩なドリンクメニューを揃え、洋食をベースにした創作メニューを提案。そのなかでも、同店の名物鍋として人気なのが、「ビールフォンデュ」3990円(2~3人用)である。
まず、一般的なチーズフォンデュと違うのが、鍋の形状。鍋には、だしが張られ、その中央にチーズを入れた鉢が設置されている。電磁調理器で全体を温めながら食べるため、チーズも適度な軟らかさに保たれるというわけである。
だしのベースには、カツオや昆布で取った和風だしを使用し、さらにビールもプラス。そのほか、醤油や豆板醤、チキンブイヨンなども加えて味を調えているという。また、チーズには、白味噌や生クリームを入れて、甘みやコクのあるソースに仕上げている。
具材には、エビやサーモン、タイ、ホタテ、牛肉、合いガモ、ソーセージなどを串スタイルで用意。串をビールの入った特製だしにくぐらせて火を通し、チーズをつけて食する。いわば、「串しゃぶとチーズフォンデュを、コラボレーションさせる」という発想から誕生したメニューである。
このメニューは、もともとは、同社が運営していた他店舗が、1994年に開発したもの。ビール工場の併設レストランとして、ビールをぜいたくに使った、オリジナル料理を模索する中から生まれたという。苦労したポイントは、ビールのだしとチーズソースの相性。だしに和の味を取り入れ、チーズソースに改良を加えることで、より素材が生かされる味が完成したという。
同店では、その店で大人気メニューとなったビールフォンデュを受け継ぎ、通年メニューとして提供。だしからは、ビールの苦みなどは感じられず、女性客にも好評という。そのほかにも、自家製豆腐や京生麩、京野菜を取り入れた、京都らしさを感じさせるメニューも開発。酒の肴からご飯物まで、多彩なメニューが楽しめるのも同店の特徴だ。
百貨店内にあるため、ランチタイムには女性グループ、ディナータイムにはサラリーマンと、昼夜で客層はガラリと変化。また、カップルからファミリーまで、年齢層もさまざまである。今後も、京都のイメージを大切にしつつ、幅広いニーズに対応できる味とサービスを提供していきたいという。
「京都ダイニング 市場小路ジェイアール京都伊勢丹店」/店舗所在地=京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町、ジェイアール京都伊勢丹9階 電話075・365・3388/開業1997年9月/営業時間=午前11時~午後11時、定休日はジェイアール京都伊勢丹に準じる/坪数・席数=約80坪・108席/客単価=昼・約1500円、夜・約3000円/1日来店客数=平日約150人、週末約250人/目標平均月商=約3000万円/スタッフ=10~18人
●愛用食材:「京都限定ビールNo.1497」
ビールフォンデュのだしに使われているのが、キリンビールが京都限定で販売する「京都限定ビールNo.1497」。業務用だけの製造で、小売はされていない商品である。味は、苦みが少ないスッキリ系で、女性にも飲みやすい優しい口当たりが特徴。同店では、ドリンクメニューとしても、Sサイズ504円で提供している。
キリンビール(株)京滋統括支社(電話075・353・1861)