中華料理特集 メニュートレンド:ズワイガニレタス炒飯 「中国食府 双龍居」

2008.11.03 350号 02面

 日本一長い商店街として知られる大阪の天神橋筋商店街から、細い路地をくねくねと入ったわかりにくい場所にありながら、本格的な中華を気楽に味わえる大衆中国料理店として多くのファンを持つ「中国食府 双龍居」。「本格麻婆豆腐」「玉子焼き」などの定番人気メニューに加え、知る人ぞ知る隠れ人気メニューがある。

 「双龍居」の隠れ人気メニューは、「ズワイガニレタス炒飯」だ。もともとは一部の常連客しか知らない要予約の裏メニューだったが、そのうちの一人がブログで紹介したことから噂が広がり、客のリクエストで料理の写真と値段を店内に掲示することになった。

 具材は、ズワイガニの足身10本、レタス半個、卵3個という豪華さ。これで900円は破格としか言いようがない。店主の栗原〓広和さんも、「普通なら1500円、最低でも1200円はつけないと利益が出ない」と言う。「でも、うちのモットーは、『一流の味を、いつでも、安く、お腹いっぱい食べられる』こと。いくら具材が豪華でも、1000円を超える炒飯は双龍居らしくありません。それで、赤字覚悟の900円にしました。たくさんのお客さんに来てもらって、いっぱい注文してもらえば、この一品に儲けがなくてもカバーできますから。とは言え、あんまり宣伝しすぎないでね」と笑う。

 「ズワイガニレタス炒飯」の味つけは、醤油とネギ油だけ。ごま油ではなくネギ油で仕上げるのは、カニの香りを消さないため。ネギ油は、大豆油、ネギ、ショウガなどで作る自家製だ。また卵は、黄身だけを使用。「白身を使うと全体が水っぽくなる」ためだ。

 また、約7割のお客が注文する「本格麻婆豆腐」(700円)についても聞いてみた。

 「うちの麻婆豆腐の味の決め手は、唐辛子とサンショウです。豆板醤と甜麺醤を使うのは日本流で、うちではあり得ない」という。

 また、ひき肉には、水分が少ない点が気に入っている「日南もち豚」を使用。豆腐もひき肉も、鶏がらと豚骨の自家製スープでゆで、丁寧に下準備を行う。さらに、水は一滴も加えずスープで調理。「ズワイガニレタス炒飯」同様、水っぽさを徹底的に嫌っている。

 オープン当初こそ厨房に入っていたものの、早々に中国から5人のコックを呼び寄せ、それ以降はホールを1人できりもりしている栗原さん。味のいい料理を出すだけでなく、自分のこだわりや思いをお客に伝え、日本人が思い描いている中華と本場の味とのギャップを埋めることも大切、と感じたからだ。

 こうして自分の味のファンを育てていることも、常に約2週間先まで予約がいっぱいなほど繁盛している理由の一つに違いない。

 「中国食府 双龍居」/店舗所在地=大阪市北区池田町10-11 辰巳ビル1階、電話06・6358・8808/開業=2000年9月7日/営業時間=午前11時半~午後2時、5時半~午前0時(日・祝は午後11時まで)/定休日=第1・第3月曜日(ただし祝日の場合は翌日)/坪数・席数=約20坪・40席/客単価=昼700円前後、夜1500円~2000円/1日来店客数=100人以上/スタッフ=6人

 ●愛用食材:唐辛子・サンショウ

 「本格麻婆豆腐」の味の決め手である唐辛子とサンショウは、中国の四川からじきじきに取り寄せている。写真手前は、「朝天椒」(ちょうてんじょ)という一般的な唐辛子よりもさらに辛い種類で、「日本ではほとんど作られていないのでは」とのこと。写真奥のサンショウは、炒めてから粉にして使う。

 このほかにも、日本で手に入りにくい香辛料や調味料、乾物などは中国から直輸入。「日航京倫飯店」で働いていた時代の信頼できる流通経路を利用し、すべて自分で手配を行い、品質を厳しくチェックしている。

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