メニュートレンド:おでんスタイルでマグロづくし満喫「まぐろのおでん」 茶屋町まぐろや
大阪・梅田の高架下、夕方になるとサラリーマンで満杯になる、「茶屋町まぐろや」。マグロ料理専門店の同店では、ユニークな創作メニューを数多く開発している。なかでも名物メニューとして人気なのが「まぐろのおでん」。1本買い仕入れでマグロのさまざまな部位を安く提供する、マグロづくしの魅力を取材した。
居酒屋でマグロといえば、赤身やトロの刺し身が一般的。そんな意識をガラリと覆されるのが「茶屋町まぐろや」のラインアップだ。店内にズラリと紹介されているのは、マグロの部位をアレンジした料理の数々。「マグロって、こんなに食べるところがあるの?」と、まず驚く。
なかでも人気なのが、「まぐろのおでん」。マグロの頭頂部分の「ツノ」や、「ほほすじ」「尾の身」などが、串に仕立てられ、だしで5分ほど煮て提供される。おでんのだしには、マグロの骨やクジラの皮なども使われており、マグロ本体からも出るうまみとマッチして、おいしさも倍増するようだ。
甘みのある「ツノ」や、味わいのある「ほほすじ」など、それぞれの特徴を楽しめる「マグロおでん」だが、このメニュー開発のポイントは、「流れ」にある。
「少人数かつ短時間で提供するためには、“流せる”メニューが必要です。串刺しにする仕込みに時間がかかりますが、その分、注文を受けたらすぐに調理して出せます」と、安田朋浩店主。
安田さんは、板前や魚市場などで働き、3年前に「まぐろや」本店をオープン。マグロを知るエキスパートとして、自ら仕入れて解体する。
「マグロは使いにくい部分が多いもの。しかし、おいしい部位を使いこなすことで、おいしく安く提供できます」と安田さん。「熟練の仕入れと調理法の工夫が屋台骨」と言い切る。
もう一つの名物メニューは、マグロが総重量の8割を占める「鉄火巻」(580円)だ。余っている身で作るサービスメニューなのだが、「その日の在庫を残さず使い切るため、具がトロになる日もある」という。その思い切りのよさも人気の秘密だ。
また、「中とろ造り」(680円)など高級な部位もお値打ち。さらに、ドリンクメニューも安い。
「お客さまが得した気分になれば、自然にリピーターが増えます。まずは、自分が行きたい店作りを心がけています」と安田さん。10月には、立ち飲みスタイルの3号店がオープンし、事業展開も好調だ。
今後の課題は、マグロの漁獲高の減少や、世界的な需要のアップ。「常においしいものを安く提供し続けたい」をモットーに、天然はもとより、養殖も選別して使いこなしたいという。
◆「茶屋町まぐろや」/店舗所在地=大阪市北区芝田1-15-7(阪急高架下)、電話06・6373・3676/開業=2007年12月/営業時間=午後5時~11時(10時半LO)、日・祝日定休/坪数・席数=約30坪・約60席/スタッフ=4~5人/1日来店客数=約60人/客単価=2800円/平均月商=約450万円
●人気ランキング ※メニュー名(価格)/1日食数
(1)「ほほ肉造りねぎゴマ油」(580円)/20食 メバチマグロのほほ肉を、ショウガとネギ、ごま油でユッケ風に。お客は、まずこれからオーダーするという人気メニュー。
(2)「アゴ身のたたき・ポン酢」(580円)/15食 本マグロのあご肉を使用。肉のたたきのようなコリコリした食感が魅力。
(3)「ウニ、イクラ、とび子・軍艦こぼれ盛」(計4貫1,600円)/10食 豪華なネタを迫力ある寿司に。ネーミング通り、こぼれるほどの盛り付けが評判。
(4)「おでん・ねぎまぐろ」(1串250円)/30食 マグロの赤身とネギの「ねぎま」をおでんスタイルで。価格の安さも人気。
(5)「おでん・カジキ尾の身」(1串300円)/20食 しっかりした肉質とうまみが、おでんに合う一品
●愛用食材:「タカラ本みりん」 だしに甘みとまろやかさプラス
まぐろのおでんは、だしでサッと煮て、素材の味を壊さずに提供するのがポイント。そのだしは、塩や薄口醤油などの調味料類で味を調えているが、塩味に甘みとまろやかさをプラスするのが、「タカラ本みりん」。主役のマグロだけではなく、だしのうまさも魅力の一品に仕上げられている。
宝酒造(株)(京都市伏見区)