ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(27)レオン自動機のアンテナショップ「Rheon Cafe」

2009.03.02 354号 08面
店頭でアピールするオープンキッチン

店頭でアピールするオープンキッチン

「和牛ビーフバーガー」

「和牛ビーフバーガー」

 場所は、おしゃれなブティックやギャラリーのあるソーホー。ショッピングに疲れたとき、ちょっと寄るのに最適の、明るくモダンで清潔なベーカリーカフェが、この「レオン・カフェ」だ。奥にはパンを焼くのが見えるオープン・キッチンがあり、焼きたてのクロワッサンを食べることができる。またガーデンもあり、季節のよいときには、テラス席で日光を浴びながら、軽食を取ったり、一服したりもできるという、ニューヨークでは貴重な店だが、実は、日本の食品機械メーカーのアンテナ・ショップでもある。(外海君子)

 同店では、プレーン、チョコレート、クリームチーズ、アーモンドクリームなどのクロワッサン各種(1$50¢~3$25¢)、パン・オ・レザン(2$75¢)、シナモンロール(2$50¢)、アップルタルトやマフィンなどのほか、サンドイッチ6種、チャバタを使ったバーガー2種、サラダ3種、日替わりのスープ3種などを提供している。メニューは、某有名シェフが監修し、焼きたてのチャバタ・ブレッドに合うように、具材とソースに味や食感の工夫がされている。カウンターで支払いを済ませ、食べ物や飲み物を受け取ると、店内もしくはガーデンのイートインスペースを使って食べたり、あるいはテークアウトしたりする。

 一見したところ、きれいなファストカジュアル店であるが、実は、ここは、東京証券取引所一部に上場している日本の食品機械メーカー、レオン自動機(株)のアメリカでの情報収集、発信のためのアンテナ・ショップなのだ。

 同社は、カリフォルニア州とノースカロライナ州の3ヵ所にある工場で、自社製造の製パン機械を使って製造したパン生地を、全米各地の大手スーパーや小売業に販売している。また、アメリカでよく知られている大手ベーカリーも、同社の製パン機械を使ってパンを製造している。

 ニューヨークにある同店では、ノースカロライナ州にある自社工場で作ったクロワッサンやアーティザン・ブレッドを店内で焼き、直接販売している。消費者からすれば、焼きたての香ばしいクロワッサンやおいしいサンドイッチを、心地よい環境で食べることのできる数少ない店だ。

 一見したところ、日本的要素は一切ない。店頭の販売もアメリカ人だし、オープン・キッチンでも日本人らしい顔は見えない。おそらく日本の会社の経営している店だと知っている人はほとんどいないだろう。

 同社によると、流行に敏感なニューヨークで、消費者の声を直接、そして、スピーディーに収集し、同社のハード・ソフトの開発に役立てるとのこと。

 ラルフ・ローレンやコーチなどの有名ブランドショップが並ぶソーホーの目抜き通りのウエストブロードウエイからは、1ブロックというロケーション。アメリカ人消費者の評価も上々のようだ。

 ●事業データ

 店舗名=レオン・カフェ(Rheon Cafe)/所在地=189 Spring Street New York NY 10012/開業日=2007年12月/●営業時間=月~土 午前7時半~午後7時 日休/坪数=1000平方フィート/席数=店内8席、カウンター10席、ガーデン24席/客単価=約6$/1日来店客数=600人

 ●人気メニュー・ベスト5

 (1)「プロシュート・サンドイッチ(モッツァレラチーズ、トマト、アルグラ、セサミマヨネーズ)」(ハーフ6$、ホール9$75¢)

 (2)「ケイジャンチキン・サンドイッチ(ケイジャンチキン、ロメインレタス、ワカモーレ)」(ハーフ5$75¢、ホール9$50¢)

 (3)「ローストダック・サンドイッチ(ローストダック、ロメインレタス、キュウリ、味噌ソース)」(ハーフ6$、ホール9$75¢)

 (4)「和牛ビーフバーガー」(ハーフ6$50¢、ホール10$25¢)

 (5)「サーモン・バーガー」(ハーフ6$50¢、ホール10$25¢)

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