電化厨房特集:カフェ電化厨房最前線=キハチアンドエス「キハチ カフェ・福岡三越店」

2009.05.01 356号 02面
大活躍のIH調理器は、全部で4口。煮込みからソテーなど、さまざまな調理で活躍

大活躍のIH調理器は、全部で4口。煮込みからソテーなど、さまざまな調理で活躍

キハチ カフェ・福岡三越店 土山歩シェフ

キハチ カフェ・福岡三越店 土山歩シェフ

 無国籍料理店「キハチ銀座店」を皮切りに、電化厨房を積極的に採用している(株)キハチアンドエス。

 キハチの味をカジュアルに楽しめる「キハチ カフェ」は、現在5店舗展開しており、全店で電化厨房を取り入れているという。1997年にオープンした第1号店「キハチ カフェ・福岡三越店」は、オープンキッチンを採用し、開放的な雰囲気の中で食事を楽しめる店として評判が高い。

 ●電化厨房による快適な厨房環境

 福岡・天神地区の再開発により建設され、バスセンターや西鉄福岡駅から直結したビルのキーテナントである福岡三越。この5階に「キハチ カフェ・福岡三越店」は出店している。122席ある客席は、天井高26m、4階分もの吹き抜けが特徴で、明るく開放的な雰囲気。福岡市街を一望できる眺望のよさも人気がある。

 スタッフがきびきびと作業するオープンキッチンでは、一部の機器を除き、電化厨房機器が採用されている。

 「11年前の開業当時は、パスタをゆでるためのパワーのある機器がまだなかったので、ガス釜を採用したと聞いています。そのほかはすべて電化厨房機器を使っています」と、シェフの土山歩氏。

 電化厨房の採用により、厨房内は夏場でも暑くなりすぎることがない。そのため、料理に集中することができ、働く環境としてとても快適だという。また、キッチン内で熱気が発生しないため、客席に影響することもない。

 オープンキッチンのため、お客からの目を意識して、クレンリネスにも気を使っているというが、油煙が出ないので汚れにくく、清掃作業もラクだという。また、鍋などの道具類もきれいに長く使うことができ、開店当時から10年以上使っているものも少なくないようだ。

 現在、使われている電化厨房機器は、IH調理器4口、スチームコンベクションオーブン1台、グリラー1台、フライヤー1台など。

 「特に、IH調理器の立ち上がりの早さは素晴らしく、パワーがあります。野菜の下処理やスープの仕込み、ソース類の温めなどにも重宝しています」(土山氏)

 毎日、約200人が来客するランチタイムは、おいしい料理をいかに早く提供できるか、時間との戦いだ。この時間帯で特に人気が高く、1日70食以上出る『本日のおすすめプレート』(1890円)は、ワンプレートに旬の食材を使った数種類の料理を盛り合わせている。

 「プレート上のすべての料理は、IH調理器などの電化厨房機器を活用して作ったものです。料理を素早く仕上げられることで提供時間も短縮できますし、回転率のアップにもつながります」(土山氏)

 もちろん、こうした1つ1つの作業時間の短縮によって、最終的には経費節減の効果も期待できる。

 そのほかのメリットとして、土山シェフは温度や時間などによるコントロールのしやすさを挙げる。「例えば火加減に関して数値化して表せるので、スタッフに作業工程を説明しやすいですね。共通認識を持てますので、指示も的確に行えます。全員がレシピ通りに正確に作ることができ、品質の安定化にも役立っています」

 今、目指していることは「シンプルな料理を、いかに素早く提供できるか」とのこと。

 「例えば揚げるだけ、焼くだけといったシンプルな調理法で旬の食材のおいしさを引き出し、お客さまに楽しんでいただけるようなメニューの開発をしたい。実は、こうした料理ほど難しいとは思うのですが、電化調理機器を活用してチャレンジしていきたいと思います」(土山氏)

 ◆現場のコメント:キハチ カフェ・福岡三越店 土山歩シェフ

 電化厨房では炎が出ないので、着火ミスや不完全燃焼なども起こらず、安全性が高いですね。

 炎が出ないために、IH調理器はフライパンを使って「あおる」という工程だけは不向きなように感じています。しかし、その他の焼く、煮る、揚げる、蒸すなどのさまざまな調理場面で活用しています。フラットなプレート面は清掃しやすいのはもちろんですが、加熱調理をしていない時には作業台としても使用できます。

 また、現在店にある機器では1回の作業で1つの調理法しか行えませんが、例えばプラックのような、鉄板を入れ替えることなく広い調理面で、焼く、炒める、温めるなどの調理を同時に行うことのできる機器があれば便利だと思います。

 ◆旬の食材を使った人気のワンプレートランチ 「本日のおすすめプレート」(1,890円)

 (写真左から)スモークサーモンのサラダ、エビのトマトクリームスープ、豚肩肉の赤ワイン煮込み、ゴボウのカリカリ揚げカレー風味。これにパンとデザート、ドリンク(コーヒーまたは紅茶)が付く。平日約70食、週末は約120食という人気メニュー。すべての作業がIH調理器などを使って行われている。おいしさはもちろんだが、最も忙しいランチタイムでの作業効率も考え、「電化厨房機器を使ったレシピ」が前提という。

 ◆店舗メモ

 ●「キハチ カフェ・福岡三越店」/店舗所在地=福岡県福岡市中央区天神2-1-1 三越福岡店5階

 ●(株)キハチアンドエス/本社所在地=東京都渋谷区千駄ヶ谷2-11-1/事業内容=無国籍料理「キハチ」4店舗、「キハチ カフェ」5店舗など、全国で61店舗のキハチブランドのレストラン・フード事業を展開

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