メニュートレンド:宮崎生まれを関西風にアレンジ にくまきおにぎり「とろや」
ご当地メニューのなかでも、知事のアピール力で知名度をアップしているのが、宮崎県の食べ物。なかでも、最近ブレークしているのが「肉巻きおにぎり」である。宮崎の企業も進出している大阪で、一味違う肉巻きおにぎりで人気なのが、大阪の企業ながら宮崎出身者が経営する「とろや」。ゴールデンウイークの移動販売では1日約1000個も売上げたというパワフルな店である。
「とろや」を経営するのは、自動車買い取りサービスのドリームアドバンス(松原市)。社長の日野広志さんが宮崎出身者で、故郷の味である、肉巻きおにぎり専門店をミナミにオープンしたのが始まりである。
宮崎名物の肉巻きおにぎりは、もともとは、居酒屋のまかないメニューが発祥とか。宮崎市内には複数の専門店があり、ファストフード感覚で愛されているB級グルメである。同店では、その宮崎の味を、関西風にアレンジ。形状は同じだが、より食べやすい薄味に改良しているのが特徴だ。
おにぎりには、広島県庄原産「しづか米」を使用し、俵型に成型。外側に巻かれる肉は、国産豚肉のロースとももの薄切り肉で、化学調味料を使用せずにじっくりと作られる独自のたれに、5~6時間漬け込むんで味付けされたもの。オーダーを受けてから、7分半ほどオーブンで焼いて、熱々を提供している。
オリジナルの肉巻きおにぎり300円のほか、チーズや梅しそなどのメニューがあるが、4月から新商品として登場したのが、「忠道ちゃんスペシャル」380円。オリジナルをより進化させた、肉巻きおにぎりの新顔である。
このメニューは、料理の鉄人としても有名な、大田忠道さんのアドバイスから考案されたもの。おにぎりには、しづか米と古代米をミックスして、モチモチした食感に。大田さんオリジナルの「はりはりちりめん山椒」を加えることで、より和風の味に仕上げている。発売と同時に参加した、デパートでの催事でも人気が爆発したとかで、ファンは増加中である。
同店では、肉巻きおにぎりのほか、鶏の炭火焼メニューも用意。飲みに行く前の腹ごしらえや、飲んだ後の仕上げとして利用するお客も多い。また、売上げの大きな柱が、近隣へのケータリング。スナックなどの飲食店のほか、マンションなどからのオーダーも伸びているという。
さらに、ケータリングカーでの移動販売では、若者から年配者まで幅広い層が行列を作る盛況ぶり。現在は、道頓堀からなんばパークスへと移動して、土・日、祝日に営業中だ。そのほか、うどん店での委託販売などもスタート。手軽さを武器にした販路拡大に、今後も期待できそうである。
◆にくまきおにぎり「とろや」本店/大阪市中央区東心斎橋2-3-3 大阪屋ムーンライトビル1階 電話06・6213・0855/開業=2008年2月/営業時間=午後7時~翌午前1時(金・土は2時)、日祝定休/坪数・席数=約13坪・8席/客単価=2000~3000円(来店利用)、1000~2000円(ケータリング利用)/スタッフ=2人
◆愛用食材:サンプランニング(株)(神戸市北区有馬町)「はりはりちりめん山椒」
「忠道ちゃんスペシャル」のポイントになるのが、大田忠道さんオリジナルの「はりはりちりめん山椒」。干し大根やちりめん、サンショウの実などを具材に作られた商品で、漬け物の風味が和風の味わいを演出する。有馬温泉の旅館「天地の宿 奥の細道」で販売中。