近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:あむりたの庭、そして音楽「八重山カレーそば」
沖縄県の石垣島で、郷土料理の八重山そばにカレーを合わせた「八重山カレーそば」が話題となっている。2つの定番を1つにした明快な創作料理だが、鰹節・豚骨だしとカレーが意外にもベストマッチ、ちゃんぽん麺に似た八重山麺との相性も抜群。ありそうでなかった組み合わせ、三位一体の味に魅了された常連客が増えている。
「八重山カレーそば」を手がけるのは、食事処「あむりたの庭」とカフェ「あむりたの庭、そして音楽」の2店舗。いずれも出店間もない生業店だが、八重山カレーそばで知られるようになり、平均日販10食を上回る人気ぶりだ。
内容は、鰹節・豚骨ベースのだしに、オリジナルカレーを合わせ、八重山麺にかけたもの。具材は、豚ばら肉と豚ひき肉、かまぼこ、オクラ、半熟目玉焼き。
食べ方も独特だ。麺を食べたあと、残ったカレースープに別売りの白飯(150g・100円)を加え、目玉焼きと一緒に混ぜ合わせて完食するのが定番。食欲旺盛な島の男性客を大満足させている。
八重山カレーそばを考案したのは、地元出身の宮本さゆりさん。宮本さんは高卒後、都内の各種レストランで13年間の修業。帰郷した3年前、まず、祖母の食堂「大宝」の改装を手伝い、1昨年は兄が開業した食事処「あむりた」の調理場を担当。そして昨年、夫婦で「あむりたの庭、そして音楽」を出店。これらの課程で八重山カレーそばは生まれた。
「島にカレー専門店がなかったので、兄の新店を手伝う際、東京で学んだ本格カレーと、祖母直伝の八重山そばを二枚看板に打ち出しました。その後、まかない食の調理中、祖母から教わった八重山だしと、私がブレンドしたカレーの相性がよいことがわかり、八重山カレーそばを商品化しました」という宮本さん。「最初は目新しさでポツポツ売れていましたが、残ったカレースープに白飯を入れて食べる男性客が現れてから、口コミで人気が広がりました」と声を弾ませる。
同店が影響してか、今年に入ってから、カレーと八重山そばの二本柱をアピールする食堂が増えている。一方、宮本さんも新たにグリーンカレーを使った「燃える緑の八重山カレーそば」を創作。こちらも豚骨カレースープのような不思議な味わいが好評を得ている。
離島ブームや4年後の新空港開港を控え、石垣島への往来は活性化の一途。八重山カレーそばが本土に知れ渡る日も近そうだ。
■「あむりたの庭、そして音楽」所在地=沖縄県石垣市大川282 1階南側 電話0980・87・7867/営業時間=午前11時~午後3時、6時~11時半、不定休(要電話確認)
◆「八重山カレーそば」850円
鰹節・豚骨ベースのだし(200ml)に独自スパイス配合のカレー(160g)を合わせ、ゆがいた八重山麺(200g)にかけたもの。具材は、豚ばら肉と豚ひき肉、かまぼこ、オクラ、半熟目玉焼き。スープの残り汁で白飯を食べることを想定し、塩気とガラムマサラを少し強めにするのがポイント。スープが麺にからむよう、仕上げにバターを加える。
◆「燃ユル緑ノ、八重山カレーそば」850円
オリジナルカレーにココナツミルク、生バジル、ナムプラーなどを加えたグリーンカレーと鰹節・豚骨だしをブレンド。まかない食から昇格した新メニューたが、豚骨カレースープのような不思議な味で、「こっちの方がおいしい」という声多数。
◆エバラで再現!模擬レシピ:八重山の香りを本土で手軽に再現
「スープカレーラーメンスープ」(50ml)と「沖縄そばだし」(10ml)を合わせ、お湯(350ml)で割ってカレースープとする。ちゃんぽん麺の代わりに中華太麺でもおいしい。
◆使用食材
○「スープカレーラーメンスープ」
鶏がら、豚がらスープをベースに、まろやかなトマトの酸味 芳しいバジルの風味を加えたスープカレータイプのラーメンスープ。二十数種の香辛料が鋭く香る逸品。
規格=1kg(約18人前)×12袋
○「沖縄そばだし」
畜肉(豚、鶏)とサバ、カツオで味わい深く、沖縄の黒糖を加えてコク深く仕上げた、あっさりタイプの沖縄そばだし。沖縄そば、ソーキそばなどの麺類、豚の中身汁、ソーミン汁などの汁物に幅広く活用できる。
規格=1リットル(1150g・約25人前)×6本入
○宮本進吾さん、さゆりさん夫妻
さゆりさんは帰郷後、3店舗の料理構成をプロデュースする大活躍。大分県出身の進吾さんは店舗経営のかたわら八重山産農畜産物の普及活動に努めている。“あむりた”はインドの語源で“永遠”の意味。