メニュートレンド:ユニークカレーメニューが名物に 「大阪うどん・そば てんま」
きつねうどんに象徴される、大阪のうどん。しかし、今や、さぬきうどんの勢力が拡大中というのが現状である。そんななかで、「大阪」を掲げて人気なのが、「大阪うどん・そば てんま」。オーソドックスなメニューのほか、ユニークなカレーメニューも開発し、年間を通して人気の商品に育てている。伝統を生かしつつ新風も吹き起こしている、同店を取材した。
◆ゆがきたてコシある自家製麺を提供
コシのあるさぬきうどんに対して、麺が軟らかいのが大阪うどんのイメージ。しかし、「大阪うどん・そば てんま」では、コシもあるゆがきたてを提供している。
「大阪人は、うどんは、サッと食べるものと思っているから、待ってくれません。でも、作り置きではなく、ゆがきたての方がうまいのは当然のこと。そこで、短時間でゆで上げて出せるシステムにこだわりました」と、山崎毅之(よしゆき)店主。
山崎さんは、大阪うどんの老舗、松葉屋や、麺類チェーンなどで修業後、2001年に開業。身に付けたノウハウや厨房設備などの知識を生かし、うどんだけではなくそばも売りの店を目指したという。
麺は、うどんもそばも自家製。うどんの場合は、上質の小麦粉を塩水で練り、足踏みをして1日寝かせてから製麺。細めに仕立てて、8~9分のゆがきで提供している。また、そばは、自分で配合を調節したそば粉に、そばの若葉から抽出した「ルチン」を加えて製麺。このひと手間で、そばがのびにくくなるのだとか。
そのこだわりの麺を生かす看板メニューとして考案したのが、ユニークなカレーメニュー。「カレーといえば、カレーうどん」という常識から目覚めさせてくれる、新しいおいしさだ。
なかでも特色があるのが、中華の皿うどんをイメージして考案したという、「カレー皿そば」(800円)。生そばをフライしたパリパリの麺の上に、カレールーがとろり。麺の食感と香ばしさ、だしと合わせた控えめな辛さのルーがマッチしている。昼夜ともに人気のメニューで、ご飯もオーダーして、残ったルーでカレー丼を楽しむお客も多いとか。
また、松葉屋の名物メニュー、おじやうどんをアレンジした「カレーおじやうどん」も人気。うどん+おじやのコンビに、エビ天や刻み揚げ、かまぼこ、生卵をトッピング。カレーのだしが、シンプルなおじやうどんとはまた違った魅力を感じさせてくれる一品だ。
「大阪うどんはだしの文化」という、山崎さん。店では、北海道・道南の白口浜の真昆布と、数種類をブレンドした鰹節を使用。さらに、味に深みを出すために、半日から1日寝かせて仕上げる。甘みを利かせた、伝統的な味わいのだしは、夜のメニューにも活用。味噌ではなくだしで煮込む、「うどん屋のどて焼き」(400円)など、酒のさかなにも生かされている。
「さぬきうどんとは、また違う魅力が、大阪うどんにはある。その本当のおいしさを紹介していきたいですし、後進にも伝えたいですね」。大阪の底力を、うどんにも期待したいものである。
●店舗情報
「大阪うどん・そば てんま」 店舗所在地=大阪市北区末広町1-14、電話06・6315・1114/開業=2001年(2008年4月、現在地に移転)/営業時間=午前11時~午後2時、5時~9時LO(土・祝=8時LO)、日定休/坪数・席数=20坪・26席/1日来店客数=約70人/平均客単価=昼750円、夜3000円/スタッフ=6人
●愛用資材・食材:「タカラ厨房専科 本みりん、本料理清酒」
宝酒造(株)(京都市伏見区竹中町609)
「大阪うどん・そば てんま」のだしは、昆布とカツオが主体だが、年や時期により、味にばらつきが出るもの。そのだしの味を調え、工夫を施すために使用しているのが、宝酒造の本みりんと本料理清酒である。うどんだしには両方を、丼だしには、本みりんを利用。味にまろやかさと安定感を出せる、開業以来の愛用商品である。