ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(49)アメリカで2011年に予想されるトレンド「マカロン」
アメリカで2011年のトレンドの1つに予想されているマカロン。これまで一般のアメリカ人には知られていないフランスのペストリーが注目され始めている。
そのマカロン専門店、「マカロン・カフェ」が、おしゃれなブティックの並ぶマディソン街にオープンした。フランス人夫妻が本場のマカロンをアメリカに紹介すべく開いた店だ。店に並ぶカラフルなマカロンは、道行く人の目を引き、店内は女性客でいっぱいだ。(外海君子)
ペストリー・シェフのセシール・カヌーネさんは、幼いころからお菓子作りが大好きで、おばあさんやお母さんから手ほどきを受け、趣味が高じてついに菓子職人になってしまった。夫とパリで食料品店を経営していたが、マカロンをアメリカに広める大志を抱いてニューヨークに乗り込み、1年の準備期間を経て2007年に1号店をマンハッタンのミッドタウンにオープン。フラッグシップ・ショップの2号店は、高級ブティックの並ぶマディソン街に去年オープンした。
入ってすぐ、ガラスケースに並ぶ虹のように鮮やかなマカロンが目に入る。同店では、90種類のマカロンを作るが、常時、ガラスケースにあるのは15種類。ベーシックな定番のほか、日替わりのフレーバーもある。またシーズンによっても、ラインアップを少し変える。たとえば、冬場は、クリ、抹茶、パンプキン・シナモンなど。夏場は、ローズ、ジャスミン、ラベンダー、スミレなど花のフレーバーの人気が上がる。ユダヤ教徒の多いニューヨーク故、コーシャ(ユダヤ教の食事規定)に従ってマカロンを作るようになってから、生産中止したフレーバーもあるが、常時、黒ごまなど新しいフレーバー作りにもチャレンジしている。
セシールさんいわく、「フランスでは、フォアグラやトリュフなど、あまくないマカロンも出回り始めたけれど、まだマカロンが新境地のアメリカでは、その時機ではないので、これから数年、まずはオーソドックスなマカロンを根付かせてから、新しいマカロンを紹介していきたいと思います」とのことだ。
材料は、シチリアのピスタチオ、カリフォルニアのアーモンド、タヒチのバニラ、南フランスの花のエッセンスなどなど、最高のものを選び、毎朝4時から、セシールさんと4人のアシスタントが手作りしている。サクッとした歯触りの後、モチッとした食感。中のフィリングが舌の上に広がる。日本人の口にも合う、甘すぎない上品な味。
薄いピンクの壁紙、黒の革のソファーの店内は、明るく洗練された雰囲気に包まれ、客層も、おしゃれなファッションに身を包んだ女性ばかりだ。店で働く女性は、全員フランス語をしゃべる。
最近、アメリカでも広がり始めたフレンチ・プレスのコーヒーのほか、カプチーノなどコーヒー各種と、マリアージュ・フレールの紅茶を揃え、マカロンのほかに、クロワッサンやクレープなども提供している。
●人気メニュー・ベスト5
(1)「チョコレート・マカロン」
(2)「バニラ・マカロン」
(3)「ピスタチオ・マカロン」
(4)「ラスベリー・マカロン」
(5)「エスプレッソ・マカロン」
(すべて1個2$25¢)
●事業データ
マカロン・カフェ(MacarOn Cafe)/所在地=625 Madison Avenue New York NY/開業日=2010年7月/営業時間=月~金午前7時~午後8時、土午前9時~午後7時、日午前10時~午後6時