メニュートレンド:野菜のにぎり寿し 「主役は野菜」のお寿司屋さん 「野菜寿し ポタジエ」

2011.04.04 385号 02面
ランチで提供される「野菜のにぎり寿し」。手前左からビーツで煮た干瓢、ゴボウ、ホワイトアスパラ、プチトマト、赤カブ、奥左から塩トマト、エリンギ、千寿葱、金時人参、大玉トマトの10カン

ランチで提供される「野菜のにぎり寿し」。手前左からビーツで煮た干瓢、ゴボウ、ホワイトアスパラ、プチトマト、赤カブ、奥左から塩トマト、エリンギ、千寿葱、金時人参、大玉トマトの10カン

開放的なオープンキッチンの店内はカウンター15席、テーブル3卓、個室1室で構成

開放的なオープンキッチンの店内はカウンター15席、テーブル3卓、個室1室で構成

 マグロそっくりの大玉トマト、ウニそっくりの金時人参のムース、煮アナゴそっくりの千寿葱、煮ホタテそっくりのエリンギ。「これが本当に野菜?」と思わず目を疑う彩り豊かな握り寿司の店「野菜寿し ポタジエ」が東京・六本木にオープンして、流行に敏感な女性たちの注目を集めている。野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」で、野菜の魅力を発信しつづける柿沢安耶シェフの新店では「おコメを新しい楽しみ方で提案し、米食のよさを見直すきっかけにしたい」と新しい試みに意欲を見せる。

 ◆こだわり農家の味を美しく料理 「ほんとに野菜!?」と驚きの声

 野菜寿司の主役となるシャリ=コメには、宮城県フレッシュファームのササニシキを使用。コメぬかを発酵させた特別な肥料を使って抗酸化作用を高めたコメで、美容や健康に関心の高い女性たちも喜ぶこと請け合いだ。その上にはゴボウ、赤カブ、ビーツ、千寿葱、ホワイトアスパラ、塩トマトなど、彩り鮮やかな寿司ネタに変身した野菜が盛り付けられる。すべて柿沢シェフが全国に足を運んで選んだ農家から旬のものだけが直送される。東京都の「千寿葱」や京都府の「金時人参」などの希少な伝統野菜も登場する。

 目を見張る美しい彩りを作りだす同店の料理人に、魚の寿司経験者はいない。「握るというより盛り付けるに近いかもしれません。魚の寿司の調理法とはすべてが異なります」と広報の小幡万純さん。オープンキッチンでは和食、イタリアン、フレンチなどを経験した料理人が腕をふるう。野菜は煮る、焼く、蒸す、ムースやペーストにするなど、ひとつひとつ丁寧な調理がされる。華やかに盛り付けられた様子に、女性客ならずとも歓声があがる。

 ランチの「野菜のにぎり寿し」は10カンが2枚の皿にのって提供される。野菜というとボリュームが少ない印象だが、男性でも食べ応えは十分。「多くの人に日本の野菜のおいしさを新発見していただきたい。ベジタリアンに限らず幅広いお客さまに支持されるおいしさを目指しました」と小幡さん。あくまで野菜が主役だが、要所にバターやクリーム、チーズも使って食べ応えのあるおいしさに仕上げている。

 「野菜にスポットを当てて、農家さんのイメージアップや野菜のブランド化に貢献していきたい」と野菜スイーツとは異なる業態でも変わらぬコンセプトを貫いていく。

 ●店舗情報

 「野菜寿し ポタジエ」 (株)イヌイ/所在地=東京都港区六本木6-9-1、六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F、電話03・3497・8822/開業=2011年1月/営業時間=午前11時~午後3時、5時~11時、無休/坪数・席数=33.4坪・37席/客単価=ランチ約2000円、ディナー約8000円/1日来店客数=約100人

 ●愛用資材・食材

 阪東食品(徳島県勝浦郡上勝町)「有機栽培 ゆこう酢」

 米酢では酸味が強すぎてネタである野菜には合わないため、同店のシャリ(酢飯)に使われているのが「ゆこう酢」である。「ゆこう」はスダチなどと同じ香酸柑橘の一種だが、現在は徳島県の一部でしか栽培されていない。産地では古来から自家用の食酢として重宝されていた。同商品をベースに小夏果汁をブレンドし、柔らかな酸味とほんのり甘味のある華やかなシャリに仕上げている。フルーツビネガーとして、ドレッシングやドリンクにも最適。

 規格=1.8リットル、720ml、150ml

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