近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:ヨコガワ分店「ボルガライス」

2011.10.03 391号 12面
酸味の効いたトマトベースソースが決め手。意外に軽く食べられる

酸味の効いたトマトベースソースが決め手。意外に軽く食べられる

2代目の佐藤渉氏は、県立長崎大学を卒業後、東京の仏料理店「LINTARO」と「清月堂」で7年間修行し帰郷。同店を継いで7年目の35歳

2代目の佐藤渉氏は、県立長崎大学を卒業後、東京の仏料理店「LINTARO」と「清月堂」で7年間修行し帰郷。同店を継いで7年目の35歳

 ●オムライス&豚カツの越前名物 ミステリアスな生い立ちに興味津々

 福井県越前市(旧・武生市)に「ボルガライス」というご当地料理がある。オムライスに豚カツをのせ、ドミグラスソースなどをかけたもので、市内約15店が提供している。

 発祥は30~40年前とされるが、発祥の経緯や“ボルガ”の意味は定かでない。生い立ちがあまりにもミステリアスなため、数年前まで市民ですら知る者は少なかった。だが昨今のB級ブームを追い風に一躍、ご当地B級グルメに台頭し、ボルガ目当ての観光客が増えている。人気店の一角「ヨコガワ分店」の実情を紹介する。

 ◆営業の概況:30年来のロングセラー 土・日客の8割がオーダー

 ヨコガワ分店は、JR武生駅から徒歩10分弱の商店街、総社大神宮神社の参道・鳥居前に立地する、1969年創業の洋食店。約30年前からボルガライスを手がけている。当初から1日集客数50~60人に対し、日販10食ほどの人気料理だったが、知名度が増した昨今は日販30食を超える勢い。土・日曜は県外からの観光客が目立ち、1日集客数は100~120人。そのうち8割以上がボルガを注文するという。

 ◆特徴と調理:軽さを演出する独自洋食ソース トマトベースで酸味を訴求

 早い話、オムライスに豚カツをのせて、ドミグラスソースをのせたものが一般的。ヨコガワ分店の場合、“軽さ”を演出するため、トマトベースの独自ソースにこだわっている。

 佐藤2代目は「オムライスと豚カツの組み合わせは重たい。なのでソースはトマトソースを主体に酸味の効いたドミグラス風に仕上げてます」と明かし、「チキンライスの調味、豚カツの上かけ、両方にこのソースを使うので、重たい組み合わせでも酸味が際立って、最後までおいしく召し上がれます」と説く。

 チキンライスに使うコメは、小粒で粘り気の少ない福井県産ハナエチゼン。鶏肉、玉ネギ、グリーンピースを具材とし、独自ソースで調味し、全卵1個の薄焼き卵で包みオムライスにする。豚肉はアッサリした脂身が特徴の福井県産ふくいポーク。これを薄衣のサクッとした豚カツに仕上げ、オムライスにのせ、独自ソースをかける。

 ◆発祥と展開:お客のリクエストで誕生 ボルガばかりも悩みの種

 ヨコガワ分店は、旧・武生市の老舗洋食店ヨコガワで修業した佐藤均氏が1969年、のれん分けで開業。1980年頃、お客のリクエストでボルガを始めたという。

 その当時、市内でボルガを出していたのは、ヨコガワ分店のほか「ジャムハウス」「カフェド伊万里」「カプチーノ」(現在閉店)の計4店だが、それぞれ経緯が異なり、どれが発祥なのか、ボルガの意味も定かでないという。

 佐藤2代目は、「いまは無き東京の洋食店が発祥で、そこで修業したコックが持ち帰ったとか、東京からの帰郷客がその料理をリクエストして広まったとか、諸説あります」としながら、「とはいえ当地で長年、根強いファンに支えられてきたのは事実。越前市の名物として胸を張ってアピールしたいですね」と前向き。

 親しみやすい定番料理の組み合わせと、好奇心を刺激する謎めきで発展したボルガライス。同店など先発店の実績をもとに現在約15店舗で提供されている。

 半面、「ボルガで盛り上がるのはうれしいのですが、どの店もボルガ以外の売り物、とくに当店はハンバーグが自慢なので、そちらも召し上がってほしい」という悩みもあるそうだ。

 ●店舗情報

 「ヨコガワ分店」 所在地=福井県越前市京町1-4-35/坪数・席数=12坪・16席(カウンター12席、テーブル4席)/営業時間=午前11時~午後11時、火曜定休

 ●エバラで再現!模擬レシピ

 「カフェ麺の素 トマト&バジル」「厨房応援団 デミグラスソース」でやってみよう!

 ■作り方

 「カフェ麺の素 トマト&バジル」「厨房応援団 デミグラスソース」、水を同量でブレンドし、チキンライスの調味料、上がけソースとする。

 ■使用商品

 ○「厨房応援団 デミグラスソース」 汎用性抜群の便利逸品

 ミルポアと赤ワインの風味を活かした味わい深いドミグラスソース。オムライス、ポークソテーなどのメニューにも幅広く活用できる。使用量は料理重量の20~30%が目安。

 規格=1リットル

 ○「カフェ麺の素 トマト&バジル」 ピリ辛味とさわやかな酸味が特徴

 陽光をたっぷりと浴びて育った欧州産トマト(ポルトガル、トルコ)のピューレとダイスカットをベースに、バジルのチップを加えた麺用調味料。野菜に合うピリ辛味とさわやかな酸味が特徴で、トマトのフレッシュ感を味わえる商品。

 規格=1リットル

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