シェフの愛用食材:加賀料理杉の家やまぐち・山口利和店主 ヤマサ醤油「重ね仕込しょうゆ本懐石」

2011.11.07 392号 10面

山口利和店主

山口利和店主

 ◆生醤油で使いたい逸品 加熱はもったいない

 ヤマサ醤油の「重ね仕込しょうゆ本懐石」は、濃厚なうま味、明るく澄んだ色、おだやかな香りが特徴のヤマサ最高峰の濃口醤油。これまで不可能と叫ばれてきた高品質(味、色、香り)の融合を実現し、日本料理界から注目を浴びている。発売直後から愛用しているという「加賀料理 杉の家 やまぐち」の山口利和店主に感想を聞いた。

 日本料理に携わり約30年たちますが、正直、これほど驚いた商品は珍しいですね。うま味の濃さ、味のバランスのよさ、鮮やかな彩り、どれも申し分ありません。これだけ完成度が高いと加熱するのがもったいない。そのまま生醤油として、お造り用に活用することを薦めます。

 われわれがお造り用に醤油を出す場合、濃口醤油を土佐醤油に作り替えるなど“料理人の一仕事”が必要ですが、本品ならそのままで十分。逆に手を加えない方がいいでしょう。とはいえ立場上、表だって断言はできませんが。好みもありますので。

 とくにお薦めしたいのは、ポン酢への活用です。当店では、ダイダイと濃口醤油の同割に対し、1割のみりんを加え、鰹節と昆布を加えて、味がなじむまで寝かせて、ポン酢にしています。でも、本品を使えば、うま味が濃いので、鰹節と昆布の量が少なくて済みます。甘味も効いているので、みりんを使う必要もありません。極端な話、食酢と本品を同割にするだけでも十分。試せば絶対に納得されると思います。

 素材の持ち味を引き立てるだけでなく、調理の進化も促す本品は、和食の新たな可能性を切り開いたといえるでしょう。

 ◆食材紹介:「重ね仕込しょうゆ本懐石」 ヤマサ醤油(千葉県銚子市)

 うま味の目安となる窒素分が一般的な醤油より20%多い超特選醤油。3種類の麹を使う“重ね仕込:追い麹製法(特許取得)”によって、強いうま味を実現。やわらかな香りと鮮やかな色、強い甘味、コク味も引き出している。

 規格=1.8リットル、ハンディボトル

 ◆プロフィール

 「加賀料理 杉の家 やまぐち」(川崎市中原区丸子通1-653) 山口利和店主

 やまぐち・としかず=1964年東京都葛飾区生まれ。79年料亭「稲垣」を皮切りに日本料理の世界に入る。老舗旅館「加賀屋」直営店「加賀屋東京店」、会員制加賀料理「杉の家」の料理長などを経て07年に独立。現職に至る。

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