メニュートレンド:酒粕玄人鍋 酒粕たっぷりの変身鍋が人気 「福島酒店 酒蔵鍋」

2011.12.05 393号 01面
酒粕がスープ全量の4分の1ほども入った、酒粕玄人鍋、1380円(1人前)。具材は、伊予の豚ロース、ばら、森林鶏、天使のエビ、北海道ホタテ、日生のカキ、豆腐、油揚げ、野菜類

酒粕がスープ全量の4分の1ほども入った、酒粕玄人鍋、1380円(1人前)。具材は、伊予の豚ロース、ばら、森林鶏、天使のエビ、北海道ホタテ、日生のカキ、豆腐、油揚げ、野菜類

 酒粕料理を看板に人気上昇中なのが、大阪の「福島酒店 酒蔵鍋」。灘の蔵元から仕入れる、上質の酒粕を幅広く活用し、ユニークなメニューを開発している。なかでも人気ナンバーワンなのが、「酒粕玄人鍋」。この冬、さらにブレークが予想される、その魅力にせまってみた。

 ◆立ち飲みと居酒屋の中間目指す 日生のカキもメニューの柱に

 「酒粕」といえば、家庭では、冬に粕汁として利用するのが一般的。飲食店でも、一品料理として粕漬けを出す店はあっても、メーンに取り入れているケースは少ない。その脇役イメージを払しょくするのが、大阪にある福島酒店 酒蔵鍋。店名には酒店とあるが、業態は飲食店である。

 同店では、鍋メニューを9種類(1人前から可。980~1480円)用意。なかでも、来店者の多くがオーダーするのが、「酒粕玄人鍋」(1人前1380円)である。日本酒が苦手な人や女性にも好評の、オールシーズン大活躍中の看板メニューだ。

 スープには、カツオ、昆布、鶏のだしに、酒粕をたっぷりと使用。具材を仕込んだ鍋に、スープを注ぎ火を入れると、温まるほどに酒の甘い匂いが立ちのぼる。スープはトロリとしているが、想像するような酒臭さや濃厚な甘さもなく、まろやかなおいしさ。

 さらに、だしが減ってきたところで、フォンデュ用のチーズ(500円)を入れると、コクのある洋風味に変身。次にパスタ(280円)を加えれば、カルボナーラ風になり、締めはご飯(140円)でリゾットにと、最後までしっかり食べられる。ボリュームがあり、1人前でも2~3人が十分楽しめる、お得感もポイントだ。

 そのほか、酒粕料理は約10種類。西京焼きや卵焼き、ピザなど、さまざまな素材と酒粕のマッチングを提案している。また、素材の柱として提供しているのが、岡山県・日生町のカキ。「大阪の近海では、日生のカキが抜群にうまく、価格も手ごろ。そのよさをアピールしたい」と、横路久和店主。地元の漁連から直送される素材を、年間を通じて利用し、約20種類ものメニュー展開を行っている。

 同店が目指すのは、立ち飲みと居酒屋の中間のような気軽な店づくり。店内に張られているメニューは、140~150種類ほどもあり、その多さに驚かされる。また、一品の価格は、超サービスメニューの80円から用意されており、ほとんどが480円まで。日本酒は280円から、地酒を中心に常時20種類、焼酎は約70種類と、酒好きも納得の品揃えである。

 オープン当初の予想に反し、6割が女性客で、順調に客数を伸ばしているという同店。次の展開として、他地域での幅広い形態を視野に入れた店づくりを検討中という。

 ●店舗情報

 「福島酒店 酒蔵鍋」 所在地=大阪府大阪市福島区鷺洲2-12-23/開業=2010年3月/営業時間=午後5時~11時半、無休/坪数・席数=約15坪・23席/客単価=約3000円/1日来店客数=約50人

 ●愛用資材・食材:白鹿「吟醸酒粕」 辰馬本家酒造(兵庫県西宮市)

 風味豊かで使いやすい形状

 「酒粕料理専門店を」というアイデアを、白鹿の蔵元、辰馬本家酒造との出合いから本格始動させたという同店。酒粕は、すべて白鹿のものを使用しているが、西京焼きなどの漬込みベースに活用しているのが、「吟醸酒粕」。甘味は強めで風味豊か、ペースト状で、溶かす手間がかからない使いやすさも魅力である。

 規格=冷蔵・300g

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