料理長の愛用食材:レストラン明治軒・海老原今朝幸チーフ 植田製油「ナイスラードDX」
●ロングセラー支えるこだわりの揚げ油
大阪・心斎橋にあるレストラン「明治軒」は、昭和元年創業の老舗。看板メニューは、創業時から提供してきた、オムライスと串カツである。
店は、初代から先代の井本一民氏へと引き継がれたが、2005年に、一民氏は早世。海老原チーフは、「先代社長の、『オムライスと串カツは、味を変えてくれるな』という言葉を大切にしてきた」と話す。懐かしい味を求めてやってくる常連客も多く、安定した味の提供が同店の基盤でもある。
なかでも、薄く伸ばした牛肉で作る串カツは、一日に平均約1200~1300本ほども売り上げる、ロングセラー。甘味のある独特の風味と、カラリとした絶妙の揚がり具合、あっさりした後味が魅力である。
その味を支えるのが、揚げ油として使用する「ナイスラードDX」。同店が昔から愛用する、こだわりの食材である。「実は、数年前にラード油の値が上がり、他メーカーの商品を検討したことがありました。しかし、試作してみると、やはり味が違う。価格は高くても、これしかないという結論でした」
串カツは、牛肉を棒状にさばき、表面をさっとボイルしてから小分けし、たたいてスジを切ってから串刺しに。衣を付けて、170~180度Cの油で30~40秒揚げるが、ムラなく仕上げるためには、薄いカツならではの難しさがあるという。その技術と、同油が合致することで、“明治軒といえばこれ”のおいしさが生まれるのだ。
「手間がかかったり、利幅が狭くても、明治軒の味の価値は落としたくない。洋食も、時代とともに変化をしていくものですが、看板の味は残していきたいですね」と、一民氏の妻である、現社長の井本啓子さん。次世代へ、味の伝承とともに、時代に合わせたメニューの考案も託していきたいという。
●食材紹介
「ナイスラードDX」 植田製油(兵庫県神戸市)
コクとうま味出る純製ラード
1916年創業の加工油脂メーカーが製造する、純製ラード。炒め物やフライなどに適し、料理にコクとうま味を与える。
規格=15kg
●プロフィール
レストラン明治軒チーフ・海老原今朝幸氏
えびはら・けさゆき 1958年宮崎県生まれ。20歳から料理の道に入り、神戸・三宮のイタリアンレストランで勤務。その後、阪神間の西洋料理店やパブレストランなどで修業し、1994年、レストラン明治軒に入社。2001年から、同店チーフとして勤務。
●「レストラン明治軒」所在地=大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-5-32