メニュートレンド:関西初!タンメン専門店 「京橋タンメン」
関東ではなじみ深いものの、関西では名前すら知られていない「タンメン」。その専門店「京橋タンメン」が昨年6月大阪・京橋に登場、女性や年配者を中心にリピーターを増やしている。同店の名物は、厚生労働省が推進する野菜摂取目標量350g/日を優に超える「野菜ガッツリ盛(500g)タンメン」。野菜のうま味と甘味を生かしたこだわりのあっさり味が、豚骨メーンの大阪ラーメン界に一石を投じている。
●野菜がうまい健康ラーメン
タンメンは炒めた肉、野菜を具材とする鶏がらスープの塩ラーメンで、関東を中心とした東日本のローカルメニュー。大阪での認知度はゼロに近く、京橋タンメンオープン当初は、「担々麺」や「ワンタンメン」と間違えられることもしばしばだった。
大阪生まれの店主・堂園直樹さんによると、「東京でプログラマーとして働いているとき、激務と食生活の乱れで壊れかけた体を支えてくれたのがタンメンだった」と言う。
そこで、「ラーメン=こってり豚骨」というイメージが強い大阪に、野菜たっぷりの健康的なラーメンを広めたいと一念発起。周到な準備の末、念願の開業を果たした。
そんな堂園さんのタンメンには、見えないこだわりがぎっしり詰まっている。たとえば野菜を炒める油には、鶏皮からじっくり抽出し、ニンニクやショウガで香りを付けた手づくりの鶏油(チーユ)を使用。豊かな風味が野菜のうま味と甘味を引き立てている。また、一番苦労したスープのポイントは、鶏がらだけでなく大量の手羽先を使っている点にある。手羽先を用いることで、さらには上質な昆布から取っただしと岩塩を加えることで、あっさりはしていても物足りなさを感じさせない、深みのある味わいを実現している。麺においては、大阪で主流となっている高加水ではなく、低加水の太縮れ麺を選択。あっさりとしたタンメンには「スープをよく吸い、スープとよく絡む麺こそが最適」と、あくまで味を追求する姿勢を貫いている。
そんな京橋タンメンの客層は、女性や年配者が主体。「普段ラーメンは食べないけど、ここのは別」「野菜がこんなにおいしいラーメンがあるとは……」など、従来のラーメン店とは異なる客層を開拓している。
「とにかく野菜をおいしくたっぷり食べてほしい」「きちんとした食材を使った体にやさしいラーメンを提供したい」という思いが強い堂園さん。プラス100円で野菜が通常の2倍(500g)になるサービスを行っているのもその表れだ。手間と食材の質から考えると価格設定は破格。それもこれもタンメンを広めるためであり、できるだけ早期に2号店のオープンを目指している。
●店舗情報
「京橋タンメン」 所在地=大阪府大阪市都島区東野田町5-15-5/開業=2011年6月/営業時間=午前11時半~午後3時半、6時~10時、無休(年末年始、お盆などは除く)/坪数・席数=約6坪・7席/1日来店客数=約50人
●愛用資材・食材
「低加水麺」 大麺(大阪府大阪市)
水分の少ない低加水麺はスープを吸いやすい上に、小麦の風味をしっかり味わえる。また、スープが絡みやすいよう弱い縮れの入った太め(12番)の平打ちを指定している。低加水麺には、味が染みやすい長所の一方で伸びやすい短所がある。最良の状態で提供できるよう、ゆで時間はもちろん、具材の出来上がりと麺のゆで上がりのタイミングを合わせるよう細心の注意を払っている。