業務用食材活用の知恵(その10)漬け物(赤しば漬け・かっぱ漬け)
◆料理に漬け物を使う中華を手本に 食感と風味が意外なアクセントに
赤しば漬けは、業務用として最もポピュラーな漬け物の一つ。本場京都のしば漬けは別として、中国産のものはコスト的に有利なため、利用する店は多い。
居酒屋でも漬け物盛り合わせや、ご飯物の添え物などに普通に使われている食材だが、この他の用途には全く利用されていない。けれども漬け物の食感や風味は料理にとっては意外によいアクセントになるはずで、やや裏技的になるが使い道はいくらでもある。
漬け物を使った料理が多いのは、中国料理で、ザーサイや高菜漬け、大根漬けなどが、炒め物やあえ物、煮物料理に使われる。ただ、ここでも料理に使う場合は、洗って塩出しすることがほとんどで、なかには、一晩水に浸けてから使うこともある。
赤しば漬けやかっぱ漬けも同様に適度に塩出しして使えば、さまざまな利用法がある。サラダのトッピングや麺類、おにぎりへのまぜ込みや焼き飯、雑炊といった米飯料理、卵焼きに入れても楽しい食感になる。
また、細かく刻んで薬味的に使うのも面白い。タルタルソースに加えれば不思議な食感になるし、食感に変化がない料理にも相性がよい。
変化がない料理のアクセントとして漬け物類は貴重な存在といってもよく、塩出しのテクニックをうまく使ってオリジナルなメニューを作りたい。
◇「じゃこと漬け物の雑穀焼き飯」
炒め料理のアクセント付けに最適
■参考原価=162円
●使用食材(1人前)
赤しば漬け(15g)鶏むね肉(5mm角30g)じゃこの唐揚げ(10g)ゴーヤー(5mm角15g)玉ネギ(5mm角20g)シメジ(5mm角8g)パセリ(みじん少々)花かつお(少々)雑穀飯(180g)卵(1個)白だし醤油(6ml)カツオだしの素(少々)ごま油(2g)サラダ油(揚げ用適量+炒め用6g)
●調理方法
(1)赤しば漬けを軽く水洗いして絞る。
(2)サラダ油で鶏むね肉とゴーヤーを炒める。
(3)玉ネギ、シメジを加えて炒める。
(4)雑穀飯を加えて炒め、白だし醤油、カツオだしの素で調味する。
(5)(1)を加えて炒める。
(6)卵を入れて炒め、ごま油を加える。
(7)皿に盛り、じゃこの唐揚げをのせ、花かつおを添える。(8)パセリを散らす。
●メニュー開発のコンセプト
雑穀飯とじゃこのヘルシー感のある組み合わせに、赤しば漬けの酸味とポリポリ食感が、好アクセントとなった和風焼き飯。
●応用のヒント
雑穀飯の代わりに、白飯を使用してもおいしくできる。
◇「そうめんサラダ」
漬け物の食感で飽きさせない
■参考原価=137円
●使用食材(1人前)
かっぱ漬け(10g)そうめん(50g)むきエビ(10g)レタス(一口大15g)大根(細切り30g)ブロッコリー(ゆで10g)トマト(くし型30g)ホールコーン(20g)フレンチドレッシング(15g)マヨネーズ(10g)サラダ油(少々)
●調理方法
(1)そうめんをゆで、冷水に取ってしめ、水気を切り、サラダ油をからめておく。
(2)かっぱ漬けを軽く水洗いして絞り、細かく刻む。
(3)フレンチドレッシングとマヨネーズ、(2)をまぜる。
(4)器に野菜類を彩りよく盛り込む。
(5)(1)を入れ、むきエビをのせる。
(6)(3)をそうめんにかける。
●メニュー開発のコンセプト
そうめんと野菜のサラダに、かっぱ漬けのカリカリとした食感が楽しいソースをかけた和風パスタサラダ。
●応用のヒント
そうめんの代わりに細めのうどんを使うのも一法。茶そばや日本そばも向く。
●プロフィル
押野見喜八郎(おしのみ・きはちろう) FSプランニング代表。1946年千葉県生まれ。東京ヒルトンホテルを経て外食マーチャンダイザーに転身。多数の外食専門校で活躍するほか、外食企業の商品開発、食品企業の業務用食材開発を手掛けるなど、わが国のメニュー政策指導の第一人者として知られる。「外食新メニュー実用百科」(日本食糧新聞社)など著書多数。











