外食史に残したいロングセラー探訪(84)キャピタル東洋亭本店「東洋亭ハンバーグステーキ」

2014.03.03 420号 08面
(株)キャピタル東洋亭

(株)キャピタル東洋亭

キャピタル東洋亭本店 東洋亭ハンバーグステーキ 1,220円(ランチは、パンかライスとポテトが付いて1,220円)

キャピタル東洋亭本店 東洋亭ハンバーグステーキ 1,220円(ランチは、パンかライスとポテトが付いて1,220円)

 ●100年以上続く老舗洋食店 進化しつづけるレシピ

 京都のおしゃれなエリアとして知られる北山通り。その通りに、一軒家の老舗レストラン「キャピタル東洋亭本店」がある。京都で最も古い洋食屋で、フランス料理という言葉すらなかった1897年、ホテルの厨房で働いていた高橋銀次郎氏が「東洋亭ホテル」として創業した。100年以上続く同店の現在の看板メニューは「東洋亭ハンバーグステーキ」と「トマトサラダ」。今なお改良を続け、進化している。

 ●商品の発祥 核になるメニューを求めて

 「手ごろな料金で西洋料理を多くの町衆に食べてもらいたい」と京都河原町から始まった同店。コース料理が中心だった頃もあるが、現在は洋食レストランとしてかじをとる。

 メニューに転機が訪れたのは、京都高島屋に出店が決まった1994年。目玉になる料理を考えていたとき、4代目社長だった高橋甫(はじめ)氏が、東京で「これだ!」と思えるハンバーグに出合う。その店の社長に、東洋亭で出すことに了解をもらい、作り方を学ぶ。「先方の社長には、今までも何件かに承諾したけれど、続いた試しがないと言われた」と、5代目社長の高橋克彰氏は振り返る。

 ●商品の特徴 シンプルが難しい

 ハンバーグとトマトサラダは、「確立するまで10年はかかった」と克彰氏。ハンバーグは、一度焼いたものをビーフシチューソースと一緒にホイルで包み、鉄板の上で再び焼く。肉の部位やひき方、パン粉の大きさ、ソースなどなど、常に「よりおいしいもの」を目指して改良してきた。

 もう一つの看板メニュー、トマトサラダは、湯むきしたトマトを丸ごと、下に敷いたツナサラダとともに提供する。トマトの食べごろを見極めること、よく冷やすことがポイントだ。理想の食材を求め、食材のプロジェクトチームを立ち上げた。季節ごとに佐賀、熊本、北海道のトマトを使い分ける。

 ●販売実績 トマト年間70t!

 ハンバーグとトマトサラダをとことん追求していくにつれて、着実に客足が増え、行列は珍しくない光景となった。店は、京都と大阪に計8店舗。全店で一日平均ハンバーグは2400個、トマトサラダは2000個でるという。

 克彰氏は、「今期の目標は、感動を呼ぶハンバーグを作る。材料や作り方など、ゼロベースから見直し、おしゃれな楽しい空間で、もっともっとおいしいハンバーグを提供したいですね」と語る。100年以上続く老舗レストランは、これからも進化を続ける。

 ●企業データ

 「(株)キャピタル東洋亭」/本部所在地=京都市北区上賀茂岩ケ垣内町28-3/店舗数=京都5店、大阪3店の合計8店舗(2014年1月現在)/事業内容=洋食店経営、洋菓子製造・販売、立体駐車場・テナントビルの運営など。「京乃百年洋食」「京乃百年洋菓子」ブランドも展開。社員教育を重視し、人材育成にも力をいれる。

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