惣菜弁当の殿堂(23)柿千(あじみ屋)「大阪名物 元祖 たこむす」 おいしくておもしろい名物弁当

2014.11.03 428号 09面
添付のマヨネーズをかけると、またひと味違った風味を楽しめる。

添付のマヨネーズをかけると、またひと味違った風味を楽しめる。

 ◇見えない隠し味は、すべての手作業 冷めてもソースなしでも、おいしいたこ焼き

 大阪名物の筆頭といえるたこ焼き。そのたこ焼きを、おむすびとあわせて海苔で巻いた、ユニークな弁当がある。「大阪名物 元祖 たこむす」だ。熱々の出来たてこそおいしいたこ焼きが、冷めてもおいしい弁当となって、ご飯と一緒に味わえる。大阪らしい商品に、出張者や観光客などに人気の商品となっている。

 ●調理概要:たこ焼きもおむすびも手作り

 専門スタッフ6人で、たこ焼きを焼く。たこ焼き、おむすび、おむすびの上にたこ焼きをのせる、海苔を巻く、全て手作業で行っている。社長の清水幸隆さんは、「機械ではなく、手作りすることで、見えない隠し味が入ると確信しています」と話す。

 たこ焼きは、定番の削り節や天かすに加え、ネギ、干しエビ、キャベツ、紅ショウガを入れ、だしのうま味を深める。タコは、2個入り。たこ焼きを作るときは、油がはねる時があるため、ゴーグルをつけて焼く。ご飯は、ねばりが強く、甘味のある三重県伊賀米コシヒカリ、塩は赤穂の塩、海苔は有明海産の高級海苔を使用。本物の味を追求する姿勢が伺える。

 ●販売実績:冷凍ナシで1日500食

 日販は、約500食。前述の通り、毎日、専門スタッフが手作りし、冷凍は一切しないため、製造個数には限度がある。主な販売場所は、大阪国際空港・関西国際空港・大阪駅・新大阪駅・新神戸駅・天王寺駅など。たこむすが最も売れるのは、新幹線の利用客が多い新大阪駅になる。乗車の前に、お弁当として買う、ビジネスマンや20~30代の男女、学生旅行者が多い。

 ●ポイント:冷めてもおいしいたこ焼き

 「柿の葉すし」から始まった柿千(かきせん)は、2002年、「おいしいくて、おもしろい、大阪名物のお弁当を作る」と開発をスタート。翌年「大阪名物 元祖たこむす」を商品化した。完成までの1年は、試行錯誤の連続だった。冷めてもおいしいたこ焼きを作るため、具材に納豆やたこせん、かっぱえびせんなどを入れたこともあったという。

 箱を開け、たこむすを食べながら目に飛び込んでくるのが、縁起のいい当て字の「多幸結」と、テーマソングの歌詞。つい、笑みがこぼれる。

 ●食材・資材の決め手

 使用資材:JAいがほくぶ「伊賀米コシヒカリ」 3年連続特A認定のおいしさ

 ねばりが強く、甘味のある三重県伊賀米コシヒカリ。日本穀物検定協会が行う食味ランキングにおいて、2011年から3年連続で、最高評価「特A」に認定されたコメ。たこ焼きとの相性もよく、品質の高いコメの使用が、たこむすの味わいを一層高める。なくてはならない食材である。

 ◆会社概要

 (株)あじみ屋 本社所在地=大阪府松原市一津屋6-1-1/販売場所=大阪国際空港、関西国際空港、JR新大阪駅他、関西地区の百貨店やサービスエリアなど約30ヵ所

 事業内容=1978年創業。食品製造、販売、ドライブインの経営、日本料理店の経営などを行う。従業員380人。人と同じことをするのではなく、考えて考えてなかなかまねのできないような運営を続ける。

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