メニュートレンド:朝ご飯を通して世界を知る 海外旅行自粛の今のニーズにヒット

2021.05.03 507号 02面
写真1 (右)=「フィンランドの朝ごはん」1,650円(税込み)、(左)=「台湾の朝ごはん」1,650円(税込み)

写真1 (右)=「フィンランドの朝ごはん」1,650円(税込み)、(左)=「台湾の朝ごはん」1,650円(税込み)

「台湾の朝ごはん」の卵焼きは、小麦粉で作った生地に刻んだ万能ネギを混ぜたものを薄くのばして焼き、卵焼き、ハム、チーズをのせてクルクルッと巻く

「台湾の朝ごはん」の卵焼きは、小麦粉で作った生地に刻んだ万能ネギを混ぜたものを薄くのばして焼き、卵焼き、ハム、チーズをのせてクルクルッと巻く

「台湾の朝ごはん」の白と赤、2種類のもち米のブレンドで作るおにぎり。揚げパン、刻んだザーサイ、ピーナツなどが入り、具だくさんだ

「台湾の朝ごはん」の白と赤、2種類のもち米のブレンドで作るおにぎり。揚げパン、刻んだザーサイ、ピーナツなどが入り、具だくさんだ

コンクリートのモルタル仕上げを女性ウケする淡いピンク色に。内装も店内にある小物一つ一つも胸キュンもの

コンクリートのモルタル仕上げを女性ウケする淡いピンク色に。内装も店内にある小物一つ一つも胸キュンもの

 海外旅行がままならない昨今、“行きたい欲求”のモヤモヤがたまっている人も多いはず。“行った気分”に少しでも浸る方法は、海外をテーマにした雑誌やテレビ番組だけではない。世界各地の朝ご飯を味わうことでも、イマジネーションは広がる。「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」が注目を集めている理由の一つがそこにある。

 「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」は、世界各地の朝ご飯がメニューのカフェレストラン。「今はパン食も増えていますが、日本の朝ご飯といえばご飯と味噌汁が定番のように、世界各地にも定番の朝ご飯があります。手に入りやすい食材で作れて、派手さはないけど毎日食べても飽きない。朝ご飯にはその国の食文化が凝縮されているので、食の背景や日常生活が垣間見えるのだと思います」と語るのは木村顕オーナー。

 同店が開業したのは2013年。当初は「海外旅行には行けないけれど、世界各地の朝ご飯を提供することで少しでもその気分に」という意図はなかったが、期せずして今のニーズにハマったというわけだ。

 メニュー開発には力を注いでいる。大使館や政府観光局といった各国政府機関や航空会社のほか、東京在住の現地出身者に協力を依頼。だからこそ、その国の食文化を知ることのできるメニューになる。3ヵ国のレギュラーメニューと2ヵ月ごとに国が変わるスペシャルメニューで、これまでに40ヵ国以上の朝ご飯を提供してきた。

 開業当初からターゲット層は旅行好きの女性。「男性は未知のメニューを探求するよりも、自分がおいしいと思う定番メニューをリピートしますから。女性の方が食については知的好奇心が強いといえるかもしれませんね」。

 週末の集客数は100人を超え店の外に行列ができ、20年2月には吉祥寺店をオープン。「世界各地の朝ご飯を提供する」という、飲食店としてはかなりニッチな分野だが、明確なコンセプトがあれば成功する好例といえるだろう。

 ●店舗情報

 「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」

 所在地=東京都渋谷区神宮前3-1-23/開業=2013年5月/坪数・席数=7.5坪・10席/営業時間=7時30分~20時(営業時間短縮中)。不定休/平均客単価=2200円/1日平均集客数=平日50人、週末100人

 ●愛用食材・資材

 「醤油膏(台湾とろみ醤油)」 輸入者=友盛貿易(横浜市中区)

 甘くてとろみのある醤油

 大豆、黒大豆、もち米などを原材料としたとろみのある醤油。「『台湾の朝ごはん』の台湾の卵焼きの仕上げにかけます。塩気と甘さがあり、ソースよりもとろみがあって、卵焼きの味の仕上げには欠かせません。この商品は台湾ではポピュラーで、日本でもネットで購入できます」と木村オーナー。

 規格=420g

 【写真説明】

 写真1:(右)=「フィンランドの朝ごはん」1,650円(税込み) ミルク粥をライ麦の生地で包んだパイに卵とバターで作る「ムナボイ」をのせた「カルヤランピーラッカ」、ビーツやジャガイモをサワークリームであえたサラダ「ロソッリ」など/(左)=「台湾の朝ごはん」1,650円(税込み) 外食が一般的な台湾の人たちは、朝ご飯もお店で好きなものをチョイス。台湾で人気の豆乳スープ、台湾の卵焼き、もち米のおにぎりの3品をワンプレートに

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