メニュートレンド:開けてびっくり 旬の魚介を重箱に盛り付け
魚介類を食べる醍醐味は、産地ならではの活きのよさ。そのおいしさにエンターテインメント性もプラスして人気なのが、和歌山市の「味処 三八波」が提供する「お造り盛り合わせ 玉手箱」だ。まさに“開けてびっくり”の演出で、ほとんどの客がオーダーする看板商品となっている。
●紀州ハモをブランド化
和歌山市内で、和食や焼肉など複数の業態で6店舗を展開する「三八波」。その旗艦店が、1994年オープンの同店だ。近隣客をはじめ観光客の利用も多い人気店で、厳選した紀州の味を提供するのが信条である。
主力商品は、雑賀崎(さいかざき)漁港から仕入れる地の魚介。そのおいしさを、見る・食べるの双方から楽しめるのが、重箱スタイルで登場する「お造り盛り合わせ 玉手箱」だ。
同品は、1年ほど前に考案したメニュー。「お造り盛り合わせは以前からありましたが、話題性のある“映え”る品にしたいと発想。玉手箱を開ける期待感を出したいと、漆器の器も探して用意しました」と、同社代表取締役の田上義人さん。
メインイベントは、蓋を開ける瞬間。中に仕込んだドライアイスから煙がわき立ち、客席は歓声と笑顔に包まれる。箱の中には、旬の魚介のお造り6種類が彩りよく盛り付けられており、季節ごとに素材が変化するのも来店する楽しみだ。
初夏から秋口にはハモ料理も用意。湯引きのほか、天ぷらにネギ醤油をかける、和歌山では伝統的な食べ方も味わえる。「ハモは淡路島が有名だが、和歌山のハモもうまい」と、田上社長が熱く語る自慢の食材である。
「しかし、漁期が限られウナギのように年中は食べられない。ここを克服し、ウナギに代わるスタミナ食材として全国に普及したい」(田上社長)。現在、旬の味を瞬間冷凍することで、鍋素材として一年中発送できるシステムを研究中とか。
目標は、紀州ハモの知名度を上げてブランド化し、地域おこしにつなげること。「漁師と業者、飲食が一体となり、町を盛り上げていきたいと考えています」と、田上社長は抱負を語る。
●店舗情報
「味処 三八波(みはなみ)」
経営=三八波/店舗所在地=和歌山県和歌山市黒田2-1-25/開業=1994年6月/坪数・席数=約30坪・32席/営業時間=11時~14時30分、17時~22時。火曜休/平均客単価=昼2000円、夜7000円
●愛用食材・資材
「はちみつ入梅肉」 かわしま(和歌山県和歌山市)
ハモを引き立てる梅肉のベース
「紀州ハモの湯引き」に添えるのが、控えめな酸味と梅の風味でハモを引き立てる梅肉。そのベースに使用するのが、紀州産梅干しが原材料の同品だ。醤油やみりんなどで味を整え、色合いを出すために別の梅肉もプラスして仕上げている。いろいろな料理に合わせやすく、「魚の香梅揚げ」にも活用する商品である。
規格=500g