2024年1月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●26ヵ月連続売上げ増に
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2024年1月度売上げは前年同月比109.6%となり26ヵ月連続の増加を記録。前半は年明けの能登半島地震の影響が一部地域で見られたものの、新年会やインバウンド客の流入が続き、客数は前年同月比5.2%増、客単価も4.2%増といずれも好調となった。
個別では、前年比を下回ったのは5業態(「うかい」「じゃんじゃん亭」「がんこ炎」「ステーキ宮」「ゼットン」)のみで、そのいずれも5%未満の軽微な落ち込みであった。
●あらためて防災対策を
年明けから大変な事態となった能登半島地震だが、その後も房総半島沖を震源とする群発地震が続いており、この房総半島沖に連動するかのように、東日本大震災の震源域である福島県沖でも再び地震発生が増えている。
飲食店にとっての地震対策は、全国どのエリアにおいても必須となっていることは論を待たないであろう。あらためて事前に準備すべき防災対策の具体的項目を確認したい。
●事前準備と緊急時対応
最も効果的な防災対策は、事前準備と緊急時の対応の確認を行うことに尽きる。事前準備や手順の確認ができていれば、少なくとも地震発生時にパニックとなり、いきなり体が硬直して動かないような状況にはならないはずだ。
(1)火元の確認と迅速な消火活動
飲食店の場合、ガスを使う火力を主因として、強い地震発生により店内に引火する危険性が高くなるため、普段から消火器の設置場所と消火に向けた動作の確認は必須だ。事前に確認しておくことで、大きな揺れの発生と同時に直ちに消火作業に取り掛かることが可能となる。
店内で火事が発生してしまった場合は、直ちに消火器を使い消火活動を行うのだが、すでに火が壁面や天井まで燃え広がってしまった場合、その場にとどまることはかえって危険なため、お客さまの安全を確保しつつ、消火活動をやめて避難誘導に切り替え、迅速に避難を行わなければならない。
(2)設備の転倒防止(固定化)
地震の揺れで、厨房内の食器棚の転倒やホール照明の落下、お酒の瓶などをディスプレーしている場合はボトルの落下や、ボトルの破損によるガラスの飛散などが生じる恐れがある。被害を最小限にするため、棚や什器類の固定化、ディスプレーには落下防止柵の取り付けなど、可能な限りすべての対策を講じることが求められる。
(3)避難経路の把握
建物や店舗内の非常口の場所と避難経路を必ず把握しておくことが必要。また、大規模地震の場合は、強い揺れが続くことで壁面にゆがみが生じ、店舗や建物の出入口の扉が開かなくなる危険性もある。このため地震発生時には、すぐに扉を開放することで安全が確保できる。
(4)防災グッズの常備
店舗には防災グッズとして、救急医療品、懐中電灯、ラジオ、飲料水、非常用食料、衛生用品、防災頭巾、軍手、防寒具、工具類、簡易トイレなど、準備可能なものは全て用意することが身を救うことにつながる。東日本大震災の教訓の一つは、災害時にはスマホが使えなくなる(通じなくなる)ことであった。このため、小型ラジオの常備は必須である。
(5)防災訓練の実施
人手不足の昨今、いつ発生するか分からない地震対策のため、わざわざ防災訓練などやっているヒマなどないと言うべからず。地震発生時に最も効果的なのは、前述のような常日頃からの備えと、店舗スタッフによる防災訓練の実施だ。特に避難経路の確認と、避難誘導シミュレーションは、スタッフ全員で必ず確認しておくべきものである。