東北業務用流通特集

卸・商社 2020.03.11

 昨年の消費増税に伴い、外食産業は10月から3ヵ月間業態問わずに落ち込んだ。分かりやすいぜいたくが外で食べることで、控えることが生活防衛になる。そんなムードが漂っていた。宮城、福島はこれに台風19号が追い打ちをかけた。さらに東北のインバウンドは雪が大きな売り物だったが、暖冬で雪がなくホテル、旅館ではキャンセルが相次ぐ。そこに今回の新型コロナウイルスで、業務用流通業界は頭を抱える。
 2日から仙台市内の小中高もほとんどが24日まで休校となり、在校生抜きのさびしい卒業式が行われる。影響はさまざま広がっているが、学校給食が停止され、20日分の食材も要らなくなる。発注済みの食材をどうするかなどの問題も出てくる。東北の地域経済は精彩を欠く。業務用食材流通業は長時間労働や長年の取引関係をよりどころに、得意先とのパイプをつないできたが、もはや通用しなくなっている。大きな不良債権は発生していないものの、小口得意先の資金繰りは悪化し、3月は年度替わりを迎え特に警戒が必要だ。
 多くは守りの経営を強調するが、一方で新たな拠点を設ける動きもある。服部コーヒーフーズは昨年6月、物流の新しい取組みを宮城県岩沼市でスタートさせ、人手不足、物流効率化に寄与するものと期待がかかる。サトー商会は27日、C&C秋田寺内店をオープンする。さらに中村商会は秋田支店を開設するため、土地、建物を取得する。秋田市周辺の得意先は横手支店がフォローしてきたが、配送頻度が多く、働き方改革にもつながる。商圏が決して広がらない中、いかに深く耕せるか、真価が問われる。(東北支局長=三沢篤)