アポなし!新業態チェック(20)イタリアンバール「バリッシモ」霞が関コモンゲート店
経営統合を図るドトールコーヒーと日本レストランシステムが共同で設立した持株会社、ドトール・日レスホールディングスの傘下となったドトールコーヒーだが、同社は持株会社設立の2007年10月に、イタリアンバールの新業態「バリッシモ」を2店舗出店した。1号店は、複合商業施設「有楽町イトシア」内、2号店は、旧文部科学省、会計検査院庁舎を中心とした再開発施設「霞が関コモンゲート」西館への出店である。
「バリッシモ」は、同社の「既存ブランドでは不十分だった、バータイムにおける顧客獲得を視野に置いた」業態とのことであり、従来の「ドトールコーヒーショップ」と「エクセルシオールカフェ」に続く3番目の主力業態として位置付けられるという。
コンセプトであるイタリアンバールは、同社が数年前から開発を模索してきたもの。店名の「バリッシモ」とは、コーヒーのスペシャリストとして人気の高い職種でもある「バリスタ」に、イタリア語で最上級を意味する語尾をつなげた造語。
同店のメニューは、カプチーノ(380円)やエスプレッソ(250円)といった20種類以上のカフェメニューのほか、ビールやワイン、カクテルなどアルコールメニューが40種類以上、そして酒のつまみとなるアンティパスト(前菜)、フードメニューとしてマルゲリータなどのピザやパスタも取りそろえている。バリスタが常駐し、表面に絵柄を描いたデザインカプチーノを提供したり、夕方からはテーブルサービスとなるのが、従来のカフェとは異なる特徴となっている。
★けんじの評価
バリッシモは、ドトールが満を持して発表したアルコールメニュー対応型の新業態だ。2007年の10月、12日と25日というごく近い時期に、有楽町イトシアと霞が関コモンゲートという2つの大型施設に続けざまにオープンしたことでも、同社の意気込みと自信のほどがうかがえるというもの。
またこの出店が、ドトールコーヒーと日本レストランシステムが統合された持株会社の設立と同じ月であることも象徴的かも知れない。「バリッシモ」は、両社が互いの特徴を補完し合った新業態であるということは明らかだからだ。
今回臨店したのは霞が関コモンゲート店だが、この立地は日本のお役所の頂点となる官庁街である。来店している客層も、男女ともに圧倒的にビジネススーツ姿が目立ち、カジュアルな服装をしたお客はごくまれだ。そんな場所であるにもかかわらず、店頭に立つ真っ赤な大きなプランターや、カウンターバックのミラーとモザイクタイルなど、バールと呼ぶだけのことはある雰囲気を備えたイタリアンテーストあふれる店舗は、意外にしっくりとマッチしている。現代のビジネスマンは海外出張などの機会も多く、スーツを着たままこうした店に立ち寄ることにも違和感がないのだろう。店舗のスタッフも白いドレスシャツの襟を立て、みなスリムで格好いい。カウンターのバリスタがフォームミルクで作り上げるデザインカプチーノ(ラテアートというべきか?)は、泡立てたミルクが滑らかな舌触りの本格派であり、中には女性バリスタもいて華やかだ。次回は、ぜひ夜の時間帯に訪れてみたい。
(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)
●店舗概要/店名=イタリアンバール「バリッシモ」霞が関コモンゲート店/開業=2007年10月25日/所在地=東京都千代田区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート西館2F/席数=46席
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。