メニュートレンド:驚愕の厚切り もはや山! デリバリーでも強みを発揮

約700gの「マッターホルン級」でも高さ12cm超のインパクト。見た目とは裏腹に力を入れずにナイフで切れる楽しさがたまらない。付け合わせはホウレンソウのスピナッチとマッシュポテト。ライスとコンソメスープが付いたレギュラーセット(+税込み300円)とグリーンサラダとソフトドリンクも加わった「バリューセット」(同600円)を用意する
同店を知った時に目から鱗が落ちる思いだった。というのも、牛肉のステーキ店は国内外を問わず次々に注目店が登場する活況なのに、誰もポークステーキ(豚テキ)に目を向けていなかったことに気づかされたからだ。牛肉に比べて価値で劣る豚肉のハンディを、圧巻の塊で焼き上げるというアイデアでブルーオーシャン開拓に成功したのが「マロリーポークステーキ」だ。
●「豚テキ」の空白市場開拓に成功
豚の肩ロースの部位(約2kg)を丸焼きした最大サイズの「オリンポス級」をはじめ、ミニマム200gの「日和山・天保山級」など7サイズをラインアップ。肉食マニアの熱い支持を獲得している。
開発のきっかけについて今野健二社長は次のように語る。「妻とステーキ店で食事した時、大判のプライムステーキをシェアして食べるスタイルが楽しかった。これを豚肉に替えれば、10分の1の値段で楽しめるのではと考えたんです」。
大ヒットの要因は間違いなく“肩ロースの丸焼き”という振り切ったアイデア。とはいえ、これを従来のフライパンやオーブンで焼き上げるのは無理がある。この課題を解決したのは、今野社長がかねてから興味を抱いていたという「低温調理」だ。仕込みでは芯温63℃で4時間じっくり低温調理して保健所の基準をクリアする滅菌をほどこし、仕上げにフライパンで表面をこんがり焼き上げる。これにより表面がカリッと香ばしく、中はしっとりとジューシーな塊肉に仕上がるようになった。注文から5~15分で提供するスピード感も軽快だ。
注文状況を訊ねると、イートインの出数でいえば最小サイズの「日和山・天保山級」がトップとやや残念な回答。しかしディナーでは宴会客が最大サイズの「オリンポス級」をシェアする楽しみ方が定着しているという。さらに「デリバリー注文で人気」というのも驚きで、昨年末のクリスマスには1日40品以上を売った店もあるほどだという。もはや“クリスマス=チキン”の常識を覆す可能性を秘めていると言っても過言ではない。
2020年11月に1号店を東京・自由が丘にオープンし、わずか4年半で7都府県に17店を布陣する。豚肩ブロックの取扱量は全店で月間50t超にもおよび、大手外食企業に劣らぬ調達力を得た。今後も直営とフランチャイズの両輪で積極出店に拍車をかける計画だ。
●店舗情報
「マロリーポークステーキ中目黒店」
経営=57/店舗所在地=東京都目黒区上目黒3-5-20/開業=2022年2月/坪数・席数=20坪・35席/営業時間=月~木曜11時30分~15時、17時~22時(※金は~23時)、土曜11時~15時、17時~23時(※日・祝は~22時)。年末年始休/平均客単価=1500円、3000円
●愛用食材
「かき醤油」アカムラサキ(広島県福山市)
広島産カキのエキスが濃厚
ポークステーキを最後まで楽しめるよう卓上にはバラエティー豊かな味変調味料を用意。そのうちの一つが同品だ。「系列のイクラ丼専門店『波の』でも使っていて、風味もコクも濃厚なのが気に入っています」(今野社長)と同店でも採用。広島産カキのエキスがうまみを増幅させる。
規格=150ml~1800ml