山本純子のスゴイぜ!業務用冷凍食品(72)ニチレイフーズ「素材そのまま」シリーズ
●生鮮に近づいた冷凍野菜 独自の『過熱蒸気製法』
食べた瞬間、えっ!とびっくりしたのは、今年1月のニチレイフーズ春季新商品発表会で試食した「素材そのままカリフラワー」。
食感良し、風味良し、味わい良し。野菜のうまみを感じるカリフラワーでした。従来の冷凍カリフラワーで感じていた、何だか残念なイマイチ感はゼロ。生鮮を下手に茹でるよりおいしいのではないかと思わせるくらいの品質でした。ベテラン記者仲間と共に、「カリフラワーがスゴイね、ほんと、おいしかったねぇ」と感心しきりでした。
昨年新発売の「素材そのままブロッコリー/ミニブロッコリー」に続く第2弾。そして第3弾もまもなく発売となる、新・冷凍野菜「素材そのままシリーズ」が今回ご紹介したいスゴイ商品。
「冷凍野菜最大の課題である、生鮮野菜との品質・栄養差を縮めるために企画・開発をスタートしました」(同社商品第三部)という目標の成果が、同シリーズです。中国の協力工場に新設備を導入しての新・製法。従来の冷凍野菜との違いは、急速凍結前の加工方法です。お湯を使ったボイル加熱ではなく、独自の「過熱蒸気製法」により、素材本来のおいしさ・甘さを保持して凍結しているのです。
また、自然解凍で提供できることも同シリーズのポイント。過熱蒸気は殺菌目的としても活用されている加熱法ですので、安全・安心ですね。サラダ用、お浸し用などに自然解凍OKな冷凍野菜は、人手不足の調理現場にとってのお助け素材です。
7月に開かれた秋季新商品発表会では、11月発売の「素材そのままスーパースイートコーン」、12月発売の「素材そのままほうれん草」の2品が、ボイル加熱の製品と共に比較試食形式で提供されて、またまた記者団をうならせました。
畑から収穫したてのコーンのような甘味、素材のうまみの違いがはっきりわかります。ほうれん草も風味、食感、甘味が格段に良いのです。配布資料では、ほうれん草のボイル加熱と過熱蒸気製法との、Brix量(糖含量)比較がグラフで示されました。ほぼ半減するボイル加熱に対し、過熱蒸気製法では、元の素材にかなり近い量を保持しています。
一般的なスチーム(100℃前後)と過熱蒸気との違いは、後者の方がより加熱効率が高く、短時間の加工が可能なこと。つまり、熱によるダメージが軽減されるわけです。そして、解凍後の歩留まりも向上する、というメリットもあります。新製法は既存品よりコストがかかり、価格が割高になるのは必然なのですが、その歩留まりの良さを加味すると、最終的な価格差は大きくない、とのこと。
来年以降もアイテムは拡大する方針で、次々とおいしい葉物野菜、また根菜類もと期待が高まります。まさに冷凍野菜の「新時代」到来といえそうです。
●ここがスゴイ!=自然解凍で高い歩留まり
●商品概要
ニチレイフーズ「素材そのままシリーズ ブロッコリー/ミニブロッコリー/カリフラワー/スーパースイートコーン(11月発売)/ほうれん草(12月発売)」
規格=1kg/10袋