オール電化厨房特集:神戸三田新阪急ホテル・山口俊一総料理長に導入の成果を聞く

2001.07.02 231号 17面

日本最大規模の電化厨房設備をもつ神戸三田新阪急ホテル。オール電化による機能性を最大限に生かし、安全で生産効率のいい厨房運営を行っている。総料理長山口俊一氏に電化厨房の導入動機と使用状況について伺った。

‐‐オール電化厨房を導入された理由は。

山口 一番のポイントは安全で衛生的であることです。HACCP方式のオール電化厨房は、直火でないため、ピーク時の忙しい時でも厨房内の温度の上昇がなく、雑菌が繁殖する心配がありません。

余分な廃熱が無く油煙があがらないので、厨房内が汚れにくく、器具のメンテナンスも簡単にできます。掃除する際も、床に水を流すことがないので非常に衛生的。ドライキッチンが徹底して実現できるので導入を決めました。

‐‐作業上のメリットは何ですか。

山口 まずスタッフが快適に働ける点ですね。働く環境が安全で快適であれば生産性も向上します。立体レイアウトで作業動線にムダがなく、電磁コンロの周りが熱くならないのでそばに物を置いて作業ができるなど、ガスレンジでは考えられなかった利便性も見落とせない点です。調理器具が軽量化できるので、女性スタッフも採用しやすくなりました。

‐‐調理面での感想は。

山口 また、電磁コンロはガスレンジに比べ、鍋の温まりが早く効率的です。中華鍋の場合、初めは火が鍋底(中心)にまわりにくい難点もありますが、熱の立ち上がりが速いので、その時間で鍋底を空焼きすれば問題はありません。野菜が色鮮やかに仕上がるといった長所のほうが大きいですね。

またガスと違って、温度や時間の調節が数値や目盛りで管理できます。メニューのマニュアル化により、若手や新人でも失敗がなく、出来上がりにムラが生じることもありません。うちはスタッフの半分近くが新人採用ですが、仕事に慣れるのも早かったですね。

‐‐真空調理も利用されていますね。

山口 電化厨房は係数管理が的確にできます。真空調理を採用することで仕事の平準化と大量の調理への対応が可能になり、余計な残業がなくなりました。通常、前日にする仕込みが数日前からできるので、大宴会場の対応もスムーズです。

‐‐今後電化に期待されることは。

山口 IH(インダクション・ヒーター)対応の調理器具は軽量化されるなどメリットがある半面、フライパンのテフロンがはがれやすいなどの面もあり、メーカーに強化改善策を期待したいですね。またサラマンダーなどの温度調節機能にもう少し繊細さが欲しいところです。

‐‐今後の予定は。

山口 いま、客席電化の特性を生かして、和食レストランではIHテーブルで炊く釜飯が、バイキング料理では卓上型IH調理器でコックが焼くステーキなど好評です。今後さらに電化厨房ならではの独自のメニュー開発に向け準備に入るところです。

‐‐ありがとうございました。

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