インタビュー・韓国料理ブームを語る:有紀食品代表取締役社長・田中晃氏

2001.10.01 237号 7面

当社は世界の調味料や食材を約八〇〇種類商品化しているが、韓国食材はワールドカップが持ち上がったときから、次の大型商品として早めに準備してきた。

韓国ブームを反映し、これらの商品の売上げは、前年対比二〇〇%の勢いだ。それまでも三〇%増で伸びてきたが、ワールドカップまでこの右肩上がりは続くだろう。

ソウルオリンピックとワールドカップ、この二大イベントがブームを作るきっかけになった。また、日本には在日韓国人が多いこと、韓国への観光客が増えたこと、韓国料理が健康に良いと見直されていることなど、いろいろなニーズがある。

いまのラインアップは三六品種。一番売れているのは焼肉のたれで、次にコチジャン、韓国スープ、冷麺、キムチドレッシングなど日本人にポピュラーなものに人気がある。業務用はまだ焼肉のたれがメーンで、家庭用の方が幅広く利用が進んでいるようだ。

新商品は、ナムルのもと、ちげ鍋のもと、水キムチのもと、味噌ドレッシングなど一〇品ほどを追加した。

韓国の調味料はもともとはそれほど多いわけではなく、本場の韓国料理に近いものを日本人が手軽に食べられるように商品化してきた。

石焼ビビンバも韓国で地方料理だったものが日本で取り上げられ、本国で逆にブームになった。調味料も当社のものがいま韓国に輸出されている。扱っているのは一部の高級スーパーだが、外国人や若い人が購入している。

外食全体が低迷する中、韓国料理も焼き肉だけではやっていけない。新しいメニューで需要を喚起しなければならないだろう。いまコンビニでもメニュー開発が熾烈になって、その結果できたものが家庭に入り込んでいる。

中華食材も三〇年前に始めたときは、はたして定着するかどうか不安があった。しかし民族に根強く残っている食文化は安定して伸びる。

韓国料理も、米国におけるメキシコ料理のように、在日韓国人の増加も手伝って、中華料理同様に最終的には日本料理と同じくらいまで地位が上がるだろう。

唐辛子のカプサイシンの効果が若い人に注目されたり、野菜をたくさん使った低カロリーの料理など、これからの時代は健康的なものが求められる。まだまだこれからが本番。焼き肉以外にも韓国の家庭料理にはおいしいものがたくさんある。

◆たなか・あきら=昭和17年1月生まれ。早稲田大学卒業後、中埜酢店に入社。その後西ドイツの健康食品を扱う会社を経て、昭和49年有紀食品を設立。社名は有機農法など身体に良い健康的な食材を扱いたいとの思いからつけた。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら