「隠岐・海士のいわがきセミナー」開催、和洋中の力作で旬の味覚を堪能

2002.04.15 250号 2面

養殖イワガキ産地で知られる島根県隠岐・海士町は3月22日、東京・新宿調理師専門学校で宣伝普及のための「隠岐・海士のいわがきセミナー」を開催した。参加者は、レストラン・割烹などの経営者や従業者およびホテル・レストラン従事者など約七〇人。

主催者を代表し石倉郁郎海士町町長は、「隠岐島は有人四島、一八〇余の無人島からなり、人口は二万六〇〇〇人。第一産業では厳しい島の経済状況下、イワガキを地元産品に育て、島の活性化につなげたいと生産に取り組んできた。現在、五万個の生産だが将来的には三〇万個にまでもっていきたい」と新商品への熱い思いを語った。

また海士町いわがき生産組合の大脇安則氏が「隠岐・海士の養殖いわがきは『春香(はるか)』と命名した。このカキは対馬暖流で約三年の歳月をかけ育てられ、一個三〇〇~五〇〇gの大粒のもの。味へのこだわりから4月から四ヵ月間の限定出荷をしている。また衛生面を配慮し、殻はグラインダーがけしてきれいに仕上げ、歩留まりも高い」などビデオを使い具体的説明とアピールを行った。

続いて、同商品を使ったメニュー提案を和・洋・中のシェフ三人が行った。

日本料理「新羅」料理長の石井雅比呂氏は、「カキは生食に限るが、新しい食べ方としてもち風にアレンジしたり、相性のよい味噌、チーズを合わせたものにした」と和風ながら新風を吹き込んだメニューを披露。

リストランテ「カルミネ」オーナーシェフのカルミネ・コッツォリーノ氏は、「こんな大きなカキを見たのは初めて。イタリアでは食べる習慣はないが、ジューシーでうまみのある味わいを生かし、マリネとパスタを作ってみた」とイタリア風に大胆・豪快な料理に仕上げた。

中国料理は、東京ベイヒルトン「王朝」料理長の宮本荘三氏が、「それにしても大きい。カキ独得の甘み、うまみをそのまま味わうのが一番だが、中華の風味を出しながらレモンのゼリーを合わせた一品で新しさを出した」。

三シェフは三人三様、初めて使った新商品「海士のいわがき『春香(はるか)』」を絶讃するとともに会心の逸品を披露した。

休憩後、場を移しての試食会ではシェフの力作六品が披露され、受講者全員が旬の味を堪能した。

◆日本料理 日本料理「新羅」料理長 石井雅比呂氏

日本で極めれば世界一になるとの大志を抱き日本料理に進み、東方会館料理長を経て、新宿のふぐ創作料理「新羅」総料理長に就任。西部学園調理師学校講師も務める。

●牡蠣餅

■作り方

(1)イワガキを洗い酒塩につけ、ピチットシートでしめた後、裏ごしし、もち粉、白玉粉と合わせて練り、オイスターソースで味付けし蒸し型に取る。

(2)別のイワガキを洗い、酒、淡口醤油、みりん、ショウガ汁適量を合わせた調味料につけておく。

(3)大根は薄く輪切りにして炊き、残りはおろしておく。

(4)ゆでたホウレンソウ、戻したソバの実をだし汁につけておく。

(5)もちガキと漬けガキは天板で焼く。

(6)器に輪切り大根を敷き、もちガキ、漬けガキを盛り、八方だし汁を合わせ、大根おろしとソバの実を入れ葛でとめた汁を張る。ホウレンソウ、針ユズを天盛りする。

●牡蠣西京焼き

■作り方

(1)イワガキをよく洗い、さっと霜振りにし、六〇~七〇度Cのだし汁(だし汁、酒、濃い口、淡口、みりん、砂糖)に約一五分漬け、先の漬けだし汁を半分程煮つめ冷やした中に二~三時間漬け込む。

(2)玉ネギ、椎茸、赤ピーマン、青ピーマンはみじん切りし、さっと油で炒める。

(3)玉味噌、卵の素、とけるチーズを合わせ(2)を入れる。

(4)カキの殻に輪切りトマトを敷き、その上に豆腐、カキをのせ(3)をかけオーブンで焼く。

(5)だし汁(だし汁、淡口、みりん、レモン汁)を上がりにかける。

◆イタリア料理 リストランテ「カルミネ」 オーナーシェフ

カルミネ・コッツォリーノ氏

日本文化にあこがれて1978年に来日。「ブィ・ザ・ブィ」「イル・キャストロ」などの料理長を務めた後、1988年市ヶ谷に「リストランテ・カルミネ」をオープン。現在7店舗を経営。

●小さな野菜のマリネと岩がきの前菜仕立て

■作り方

(1)殻から外したイワガキを四等分する。

(2)セロリ、赤・黄ピーマン、ニンジン、ポロネギを五mm角切りにして、少量のオイルとビネガーを入れた湯で軽く湯通しする。

(3)万能ネギはみじん切り、トマトはダイスにカットする。

(4)ドレッシング(オリーブオイル、クルミオイル、バルサミコ酢、塩、コショウ、イタリアンパセリ、タラゴン、マジョラム)を作り、(3)の野菜を入れる。

(5)殻にサラダ菜を敷き、イワガキをのせてドレッシングを適量かける。

●岩がき小松菜のリングイネ

■作り方

(1)イワガキを魚のだし汁で軽くゆで、三等分にする。

(2)小松菜をゆで、冷水に取り、水気を切って三等分にカットする。

(3)フライパンにオリーブオイルを入れ、つぶしたニンニク、赤唐辛子を入れる。

(4)ニンニクが色づくころ、イワガキを入れて炒め、ついで小松菜を入れる。

(5)パスタのゆで汁少々を入れ、バターを落とす。

(6)ゆで上がったリングイネを加えてあえる。

◆中国料理 東京ベイヒルトン「王朝」料理長 宮本荘三氏

小田急ハルク「豪華」、銀座「東京飯店」などに勤務後、旧東京ヒルトン「星ヶ岡」、新宿・東京ヒルトン「王朝」を経て、現在東京ベイヒルトン「王朝」料理長を務める。第一回中国料理世界コンクール銀賞受賞。

●椒麻牡蠣・牡蠣のゼリーがけ

■作り方

(1)熱湯に塩、砂糖、レモンの果肉と汁を混ぜ、水につけたゼラチンを絞って入れ、器ごと氷水につけて冷まし、ゼリーを作る。

(2)ワケギとショウガを包丁で細かくたたき、熱したごま油をかけ、砂糖、酢、醤油、サンショウ粉を加えてたれとする。

(3)イワガキは殻から外し、熱湯でさっと湯引きし、氷水で冷やした後、キッチンペーパーなどで水気を切り殻に戻す。

(4)盛りつけたカキにゼリーをのせ、たれをかけて細かく刻んだアサツキを飾る。

●香生〓〓子(牡蠣のオーブン焼き)

■作り方

(1)殻から外したイワガキを沸騰した湯でさっとボイルし、水気を切って熱いうちに上新粉でまぶしておく。

(2)レタスは適当な大きさにちぎってボイルし、水気を切っておく。

(3)ニンニク、エシャロットはみじん切りにして炒め、ソース(マヨネーズ、白みそ、〓〓露酒、粒マスタード、豆板醤、みじん切り香菜)を作り、まぜ合わせる。

(4)イワガキの殻にレタスをしき、(1)のイワガキをのせ、(3)のソースをかける。

(5)二〇〇度Cくらいのオーブンで表面がカリッとするまで焼き、器に盛りつける。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら