辛口・外食にモノ申す:隠れ家系飲食店に重大な落とし穴、火災発生の危険内在

2002.07.01 255号 23面

最近、「隠れ家系飲食店」が大流行である。隠れ部屋、中二階、二階が吹き抜けや空中回廊のように出張っていたりと、その複雑な構造は忍者屋敷のようである。これら隠れ家系飲食店は、全体に照明も落とし非常に暗いのが特徴だ。

「落ち着ける」「気がねなく過ごせる」と好評だが、店内に潜む重大な危険について気づいているものは少ない。それは、「火災」の危険である。密閉された空間で火災が発生すると、大変に危険なことは周知の通り。昨年の新宿雑居ビルの火災は記憶にあたらしい。

隠れ家系飲食店の店内には、燃えやすい物が充満している。内装材料に使われている自然材である。古い民家を解体した材木、個室の仕切りやテーブル・いすに使われている板材やタル木、引き戸や廊下、青竹やすだれに編んだ細竹、アシで編んだブラインド、間接照明の和紙。これらに火がついたら、店内は一気に火の海と化すだろう。

加えて、店内が暗く細かく仕切られ、避難路が分かりづらく、複雑な内装が障害物となって誘導灯も見えにくい。店内に煙が充満し照明が無ければ店内は大パニック。多くの犠牲者が出る。また、テーブルや随所に「明かり取り」としてろうそく(裸火)や発熱系のランプが使われている。店内にいつもマッチの炎がついているような状態である。

大きなビル火災を教訓に消防法が改正され、高層ビルに入店する飲食店・テナントには大変厳しい規制が行われている。内装材料のすべてに不燃加工を施すよう指導される。カーテンや壁紙・クロスなども、絶対に「不燃加工」が条件だ。

ところがこれらの指導は、高層ビルに偏っているようだ。小規模な飲食店が、中規模ビルへ新規出店する場合、保健所の立入り指導はあるが消防の指導はあまり聞かない。また現行法では通報する必要もない。

だから最近の隠れ家系飲食店は、ほとんどが消防の指導は受けていないはずだ。不燃材を使用すると内装費が三〇%アップするなど、自主的に不燃化に取り組まないのも原因だ。

ほとんどの隠れ家系飲食店は、可燃物の山の中で火災の危険を内蔵しながら営業している。繁盛の裏に重大な火災の危険を内在させていると言わざるをえない。いざ火災が発生し、惨劇が起こってからでは遅すぎるように思えるのだが、いかがであろうか。

((有)日本フードサービスブレイン代表取締役・高桑隆)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら