そば・うどん特集:繁盛店紹介=手打ちそばと旬菜料理たつみ(東京・豊島)
東京は豊島区、JR池袋駅の地下通路から東武百貨店のエレベーターに乗り、本館一三階のレストラン街「スパイス」で降りると、目の前にある大きなガラス張りのそば打ちスペース。そこでそば職人がそばを打っている。ここが「手打ちそばと旬菜料理たつみ」である。店主の小沢巽さんも自らここでそばを打つ。
この店は平成14年6月にオープンした。埼玉県所沢市で約三〇年の業歴を誇る「たつみそば」の二号店として小沢さんが自らの年来の希望を実現させる形で出店。そば職人として三〇年のキャリアを持つ小沢さんだが、「自分のそばへのこだわりをもう一度確かめたい」「自分のそばを新しいお客様に評価してもらいたい」と考え、本店を息子とベテランの従業員に任せて池袋の百貨店に開業する決心をしたという。
こだわりの一端を紹介すると、そばはすべて店内のそば打ちスペースで打った正真正銘の「手打ちそば」。そば粉はすべて国内産(ただしダッタンそばは中国産)、そばつゆに使う鰹節は鹿児島県枕崎で特別注文したものを年間三t仕入れ、天日干しをするなど丁寧に管理している。また、コメは新潟県魚沼の農家と契約栽培をしている。
「普通のそば屋ですから」と謙遜するが、茶道をたしなむ小沢さんだけあって、「もてなしの心」もすみずみまで行き届いている。座敷一〇席とテーブル四七席の店内は奇をてらわず、木のぬくもりが伝わるシンプルなつくりになっている。料理を盛る器は全国の有名な焼き物産地で小沢さんが自ら選んだものである。店内のところどころに置かれたつぼも小沢さんが全国の焼き物産地を巡っているときに目にとまって買い求めたものである。
人気メニューはそばの風味が味わえる「せいろ」だという。なかでも揚げたてであつあつの天ぷらと冷たいそばの組み合わせが絶妙な「天せいろ」がおすすめ。
また、「ダッタンそば」も人気が高い。こちらは健康に気を使う中高年世代の客に受けている。開業して一年半になるが、平均客単価は一五〇〇円、一日平均客数は平日で約二〇〇人、休日は三〇〇人以上と順調に売上げを伸ばしている。
◆「手打ちそばと旬菜料理たつみ」(東京都豊島区西池袋一‐一‐二五、スパイス池袋東武一三階、電話03・5953・4802)営業時間=午前11時~午後11時、無休