ピカイチキッチン(64)FCSIの実態

2006.07.03 316号 9面

●FCSIとは

前回紹介したシンガポールの展示会に参加した理由の一つは、FCSIの会合へ出席するためであった。

日本国内ではFCSIについて認知している方はまだ少ないと思われるが、海外のフードサービス業務に携わるFCSIのメンバーは極めて重要な組織といえる。つまり、海外でのFCSIの認知度は極めて高いばかりでなくその権威は極めて高い。

こうしたメンバーは世界中で活躍しており、シンガポールでの会合では改めてその実態が確認できたばかりか、海外のフードサービス情報を得られる意味も大きい。

FCSIとは、直訳すると「インターナショナルフードサービスコンサルタント協会」である。つまり、フードサービス業務にかかわるプロ集団といえる。

このコンサルタントの業務は24種類に大別され、各業務についての高度な知見を有していることが求められる。例えば、市場調査、メニューやレシピー開発、栄養学、厨房計画、インテリアデザイン、コンセプト開発、食品衛生、フランチャイズなども含まれている。

日本国内では、フードサービスコンサルタントは多く聞くが、どのような業務に精通しているのかを知る方法がない。

●コンサルタントの専門性

FCSIのメンバーは、プロフェッショナル、シニアー、コーポレート会員に大別されるが、プロッフェショナルの場合はコーポレート会員に比べややハードルが高い。

FCSIのメンバーになるためには、コンサルタントとしての専門性や経歴、実績などについて審査を受け、認められれば晴れてメンバーに登録される。また、こうしたコンサルタントの質を維持、向上させるために、試験制度やポイント制が設定されている。

例えば、プロフェッショナル会員の場合、その会員資格を継続するためには会員在籍中3年間に30単位を取得しなければならないが、その単位取得の条件も詳細に決められている。

さらに、専門的スキルを向上させるための試験制度では、約200問が準備されている。当然「赤点」は不合格となる。したがって必要な単位が取得できない場合、プロフェッショナル会員としての登録は取り消され降格となる。

●国内のフードサービスコンサルタント事情

日本の国内でこうした制度はないが、今後コンサルタントの専門性を明確にし、消費者に分かりやすい情報を提供する必要があることから、当面国内のフードサービスコンサルタントに協力を得てFCSIへのメンバーに参加されることを望みたい。

さらに、もっと多くの消費者にFCSIの内容を認識していただく啓蒙活動によって、トラブルの少ない質の高い仕事ができるものと期待したい。

((有)本山フードビジネス研究所代表・本山忠弘)

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