ティエラデザート、アジアンスイーツ好評 通年商品を追求

2006.07.03 316号 8面

20世紀後半から頻発する異常気象は地球温暖化の証しでもある。亜熱帯と同様の日本の夏は、食の在り方にも大きく影響する。ティエラデザート(株)(東京都府中市、電話042・360・9017)は96年、ユウキ食品(株)(東京都調布市、電話0424・42・0801)が、デザート分野の特化深耕を目指し設立した。地球温暖化という環境変化の追い風を受け、冷菓・デザートを扱う同社は大きく事業を拡大している。

岡部紘一社長が、同社の中核商品となるマンゴープリンと出合ったのは10年前。当時の日本では、まだ一般的ではなく土産物として少数が入っていた程度だった。「この味ならば受け入れられる」と直感し、正式に商品化を進めた。

同社自慢の「Cマンゴープリン」は、マンゴーの王様と呼ばれるアルフォンソマンゴーを使用している。アルフォンソマンゴーは、かつてポルトガルの統治下にあったインド・ゴア州で当時の提督が栽培させた最高級マンゴー。濃厚な味と香りは他社製品とは格違い。誰もが納得するおいしさだ。この「Cマンゴープリン」にナタデココを入れた姉妹品は、ユウキ食品・田中晃社長のアイデアから誕生した。

モチモチとした歯触りがうれしいブラックタピオカは、保存料をきらい冷凍で輸入する。今や清涼飲料のアクセントとして欠かせないアイテムだ。一般に黒い色は食材として敬遠されるが、岡部社長は「これからは黒い食材こそ注目」と語る。カメゼリーはその代表例だ。

香港を歩くとすぐに見つかる「亀苓膏」(グィレイコウ)の看板。その昔、清朝の宮廷医が体内毒素を取り除き、体の熱気を冷ますため考えたといわれる健康デザートだ。

香港、台湾、中国では誰もが知る定番だが、同社の「亀苓膏カメゼリー」は、カメの甲羅のコラーゲンを使った亀板と蒲公英、金銀花、甘草、人参、仙草粉という5種の薬草を配合した医食同源デザート。漆黒の食品という物珍しさも手伝って、今後大きな需要が期待される。

さらなる消費拡大を期待するのは、豆腐生まれのヘルシーデザート「豆腐花」(トウファ)。健康志向を反映し、有機豆腐を60%使用した同社の「豆乳豆腐花」(トウニュウ・トウファ)は、なめらかな食感と豊かな大豆の香りが特徴で、自然な甘さが女性に好評だ。

こうした一連の商品に共通するのは、一過性の流行に惑わされず、ベーシックな定番商品、通年商品を目指す考え方だ。コメ、醤油といった重要食材がアジアと共通する日本の食にはアジアンスイーツが無理なく調和する。同社は、低温貯蔵室に制限がある末端店舗のバックヤードを考慮し、各商品を原則常温保存としている。

「21世紀はアジアの時代」と岡部社長は断言する。アジア発のブランドが世界に向かって続々と羽ばたく中、同社が打ち出すアジアンデザートからは目が離せない。

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