ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(11)ライスボール・カフェ

2007.10.01 334号 10面

できたてのおむすびを手軽に食べられる場所が、ニューヨークにある。その名も「ライスボール・カフェOms/b」。オー・エム・エス・ビーをもじって“おむすびだ”。伝統的なサケや梅、おかかのおむすびだけでなく、NYスタイルのユニークなおむすびも提供し、その手軽さとヘルシーさからニューヨーカーの間でも人気が高まりつつある。(外海君子)

スシは、アメリカの食生活に定着したが、おむすびの認知度はまだまだだ。スシ同様、具をフレキシブルにかえて嗜好に合わせることもできるし、油を使わないローファット、ローカロリーでヘルシーでもあり、手軽につまめるフィンガー・フードでもあることから、アメリカでも広がり、定着する余地がじゅうぶんにある。

この店では、サケや昆布、ツナマヨや明太子などのほか、カリフォルニア・ボール(カニ肉、キュウリ、レタス、2$25¢)、スモークサーモン(スモークサーモンとクリームチーズをチャイブ入りのご飯にのせたもの、2$25¢)などアメリカ人に人気のあるスシの定番からヒントを得たものや、バルサミック・サーモン(スモークサーモン、バルサミック・ビネガー、玉ネギ、レモンピールをオリーブご飯にのせたもの、2$80¢)、ロブスターサラダ(ロブスターサラダをキュウリとオリーブご飯の上にのせたもの、2$50¢)などユニークなおむすびも提供している。

創作むすびは、店頭に並べて、売れ行きのいいものは定番として取り入れ、売れ行きの悪いものは淘汰させていく。消えたものの中には、スパムむすびがあった。日本人には目新しさから受けたようだが、スパムをジャンクフードととらえているアメリカ人には受けが悪かった。そもそもが、高脂肪・高カロリーのハンバーガーやフライドチキンではなく、わざわざおむすびを食べに来るからには、健康志向の人が多いので、スパムむすびは人気が出なかったのだ。

アメリカ人は黒い色を好まないので、アメリカのスシでは裏巻きが多い。おむすびも、海苔のかわりに、大豆シートの人気がある。黄色やピンクのシートで巻いたおむすびは華やかだ。

アメリカ人はとにかくエビ好きだという。エビワサビマヨネーズ、シュリンプポップコーン、エビフライ、エビの天むす、エビチリ、揚げエビ巻きなど、同店ではエビを使ったおむすびが数多い。また、ヘルシー嗜好の人にはベジタリアンが多いことから、昆布、高菜、きんぴら、ごぼうサラダなどは、ベジタリアンのマークがつけてある。

おコメはコシヒカリ。活性磁気水を使い、竹炭を入れて炊き上げ、天然海塩を使ってむすぶという気の入れようだ。

モーニングセットは、午前8時半から10時までで、おむすび2個と漬け物、味噌汁で4$75¢。ランチタイムには、ベジタリアンむすび3個と好みのアペタイザー、味噌汁もしくはスープで5$95¢、ベジタリアンでないものは6$50¢などがある。

おむすびのほかにも、サーモンフライバーガー、照り焼きチキンバーガーなどのライスバーガー、リゾット春巻きなども提供している。また、アペタイザーとして、枝豆や、春雨サラダ、シュウマイ、唐揚げもあるし、一休みできるよう、抹茶マドレーヌ、ごまパンナコッタなどのデザートもある。パーティー用にケータリングもしており、おむすびは人気だという。開店当時は日本人客とアメリカ人客半々だったが、今では7割が一般のアメリカ人客だ。

●人気メニュー・ベスト5

(1)「スパイシーツナ・1$75¢」(チリマヨネーズであえたツナむすび)

(2)「サケ・1$75¢」

(3)「シュリンプポップコーン・2$50¢」(チリマヨネーズであえたエビの天ぷらをチャイブ入りご飯にのせてレタスで巻いたもの)

(4)「イクラ・2$」

(5)「ロブスターサラダ・2$50¢」(チャイブ入りのご飯にキュウリのスライスとロブスターサラダをのせたもの)

●事業データ

店舗名=ライスボール・カフェ、Oms/b/所在地=156 East 45th Street, New York, NY 10017/開業日=2003年10月/営業時間=月~金 8:00~19:30, 土 11:30~17:00 日曜閉店/坪数=450平方フィート/席数=14席/客単価=10$ほど/1日来客数=250人/スタッフ=10人

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