一宮で1円戦争勃発 アオキスーパーとカネスエ 同業他社「まさに景品状態」

2008.03.03 339号 06面

 愛知県一宮市で1円戦争が勃発(ぼっぱつ)、レタスや大根などが1円で販売される異常な事態となっている。1000円以上買い上げた顧客に対してレタスや大根、キャベツ、キュウリなどを1円で販売しているもの。この1円戦争を繰り広げているのは、地域一番店を目指すアオキスーパー(愛知県津島市)とカネスエ(愛知県一宮市)。カネスエが東京のオーケーの販売手法(チラシをまかず、その分の経費を商品の売価に反映)を取り入れ、地域一番の低価格路線を打ち出し始めたことがきっかけとなり、両社の間で価格競争が起きている。

 従来、一宮市は繊維業を中心とした工業都市だったが、繊維業界の不況とともに廃業する企業が続出。その工場跡地を狙ってスーパーがこぞって進出したが、もともと価格に対して最も敏感な土地柄でもあり、各社とも苦戦を強いられているのが実情だ。その中で起きた今回の1円戦争は、青果物について昨年から両社の間で値段競争が激化し始め、年末には落ち着くかと思われたものの一向に収束の兆しが見えず、ついには1円という事態に陥っている。

 「まさに景品状態」(某スーパー)となっており、さらに他の青果やドライ食品への波及もささやかれている。こういった状況について、アオキスーパーは「これまで当社は地域一番店を標ぼうし、特に青果についてはどこよりも廉価で大量に販売してきた自負があって、引くに引けない」と言う。これは地場のカネスエにしても同様で、お互い意地と意地のぶつかり合いの様相を呈している。

 この状況に対して、その他のスーパーは冷ややかに見ているものの「どこかが仲裁に入ってやめさせなければ、大変なことになる」と懸念する声も多い。

 ただ、青果は相場や産地の違いなどで一概に不当廉売に当たるとも言い切れない。またドライ食品であれば、どこか共通の卸やメーカーが仲裁に入ることも可能だが、青果となるとその企業も見当たらないのが実情だ。しかし、どちらにしても相場とは大きくかけ離れた売価で売られていることは事実であり、お互いどこかで妥協点を見いださないと、ますます泥沼に陥ることになる。

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