メニュートレンド:うしなべ食べ放題90分 「USHINABE 森ノ宮店」
大衆店から高級店まで、利用客にとって幅広い選択肢のある焼き肉店。新興店の浮き沈みが激しい中、1991年の開業以来、シンプルなスタイルと安さで勝負するのが、大阪の「USHINABE 森ノ宮店」だ。息長く利用客に愛される看板料理を取材した。
「USHINABE森ノ宮店」の看板メニューは「うしなべ食べ放題90分」(1人前1680円)だ。肉や野菜、うどんやご飯が食べ放題で、お客の7割がオーダーするという名物である。
うしなべは、一般的な焼き肉とは一線を画す、いわば、「見た目はすき焼き、味は焼き肉」といったユニーク料理だ。テーブルにはガスコンロが置かれ、中華鍋を平たくしたようなオリジナルの特製鍋が登場。その中に、モヤシ、玉ネギ、ニラ、牛肉がこんもりと盛られ、特製のたれをかけ、お客が混ぜて焼きながら食べるものだ。
牛肉は開業時から豪州産牛肉を使用。理由は、コスト面や安全性のほか、料理との相性が合うこと。脂肪分が少なくあっさりした豪州産牛肉が適するという。まず出される1人前にはロース、ばらを各50gずつ計100g使用している。
また、特製鍋は独自に考案したステンレス製で、サイズは直径40cm×深さ6.5cm。こげにくく、安全に調理しやすいよう、試行錯誤を重ねて開発したのだとか。普通の焼き肉で問題とされる煙も、鍋で調理すると軽減されるため、普通の換気扇で十分。ダクトなどの設備投資や管理が不要なため、よりコストがかからないという。
開店以来、安さとボリュームが若者の評判を呼び、業績は順調にアップしたが、BSE問題で売上げが大幅にダウンしたこともある。そのため、牛肉以外にも豚や鶏も用意して、お客の好みで楽しめるように工夫した。
また、最近のヒット料理は「うしなべセット」(1人前990円)だ。うしなべに、サラダ、キムチ、うどん、ご飯、ウーロン茶が付いて値打ち感満点。
「外食費が切り詰められるなか、この価格なら家族でも気軽に利用してもらえます。当店の味を知ってもらうための、お試しメニューでもあります」と、店主の神山淳一さん。
ほかに、量より質を追求した「特選うしなべ」(1人前1470円)が中高年客から好評。こちらは国産牛を使用している。
メニューの幅を広げる狙いは、もちろん新規客の獲得。
「安くて量があればOKという若者だけではなく、家族客や中高年客に客層を広げる努力が未来につながる」という。
昨今は特製たれの販売もスタートしている。
◆「USHINABE 森ノ宮店」/店舗所在地=大阪市中央区森ノ宮中央1-6-18 電話06・6945・9666/開業=1991年/営業時間=午後5時~翌午前5時、無休/店舗面積=約9坪、席数=約30席/スタッフ=2~3人/1日来店客数=50~70人/平均客単価=2200円
●愛用食材:(有)OKレジャーサービス(大阪市都島区) 「うしなべのタレ」
うしなべの味の決め手は、もちろん“たれ”。特製たれは味噌をベースにしたしっかりした味付けで、野菜から出る水分と合わさることで、程よい甘辛さに仕上がる。お客から「分けてほしい」という要望が強いため、一般客に向けてもネット販売をスタート。業務用としても幅広い販路拡大を目指している。価格は300g(5人分)で480円。