ヤマサ醤油の「鮮度の一滴」、世界初の鮮度保持技術に注目 酸化防ぎ色鮮やか

2009.09.07 361号 09面
使いやすさにもこだわり。酸化に弱い液状食品への普及も期待される

使いやすさにもこだわり。酸化に弱い液状食品への普及も期待される

開封後1ヵ月を経過した新容器の醤油(左)。PETボトルの醤油に比べると、色の違いは歴然としている

開封後1ヵ月を経過した新容器の醤油(左)。PETボトルの醤油に比べると、色の違いは歴然としている

 ヤマサ醤油がこのほど発売した特選しょうゆ「鮮度の一滴」は、最新の鮮度保持技術が用いられ注目を集めている。使用されているのは内袋と外袋の二重構造で構成されたパウチ型容器。注ぎ口部分に施した特殊なラミネートフィルムが逆止弁の役割を果たし、開封後も容器内を真空に保つことが可能。酸化による色や風味の劣化を防げ、作りたての品質を維持できることが特徴だ。商品化に当たり、浜口道雄社長は「PETボトルや通常のパウチに代わる“容器革命”といっても過言ではない」と自信を見せる。

 新型容器を開発したのは新潟県三条市の「悠心」。社員7人の技術ベンチャー企業だ。05年に開発を始め、「1000個以上の試作を繰り返した」(二瀬克規社長)という。

 試行錯誤を重ね、最終的に安価でバリア性の高い逆止効果のあるフィルム弁を採用することで、開封後も鮮度が落ちない容器の開発に成功した。

 最大の特徴は、開封後に内容物が空気に触れない真空状態を保てること。容器を傾けると弁が開き、内容物を注ぎ出せる。容器の傾斜を戻すと弁は自然に閉口するため、容器内に空気が入ることなく最後の一滴まで使い切れる仕組みだ。

 重量は、同容量のPETボトルに比べて約4割削減した。キャップの開け閉めが不要で、倒れても内容物はほとんどこぼれない。二重構造のため、内袋に入った内容物が減っても外袋で自立できる。使用後は小さくたため、コンパクトに廃棄できる。PETボトルとほぼ同等のコストで製造できるため、ユーザーの初期投資費用も抑えられる。

 二瀬社長は「鮮度を維持することは、商品価値を維持すること。メーカーにとっても消費者にとってメリットがある」と語る。

 ヤマサ醤油をはじめとする醤油業界にとって、開封後の鮮度維持は長年の課題だった。醤油は「卓上容器に移した場合は1週間、PETボトルの常温保存で2週間、冷蔵庫で保管しても1ヵ月で劣化してしまう」(同社マーケティング部)という。

 新型容器は開封後も常温で70日間鮮度を保てるため、いつでも新鮮な醤油が味わえる。「醤油本来の味、色、香りを消費者に届けられる」(同)ことから、商品価値・企業価値の向上につながると見る。

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