メニュートレンド:スイーツ新ジャンル、おかず系パフェ 「からふね屋珈琲 三条本店」
京都で喫茶店といえば必ずその名が挙がる「からふね屋珈琲」。深い味わいのダッチコーヒーが有名な1972年創業の老舗喫茶店である。そのからふね屋珈琲の新しい顔となりつつあるメニューが、「パフェ」である。三条本店では常時200を超える種類を取り揃え、京都発のパフェ・トレンド創作を目指している。中でも強い個性を放っているのが、「おかず系パフェ」と称されるシリーズ。エビフライとアメリカンドッグを使った新作2品の登場により、ますます注目度が上昇している。
からふね屋珈琲では、セルフスタイルのカフェ対策として、以前より人気が高かったパフェに着目。メニューを考案して商品化につなげる「パフェクリエーター」、美しいパフェを素早く作りあげる「パフェシエ」を擁し、目と舌にアピールする200種以上のメニューを提供している。
その中でもひときわ目をひくのが、2009年5月の「からあげパフェ」を皮切りとする「おかず系パフェ」シリーズである。パフェクリエーターの清水久子さんによると、「新作の企画に頭を悩ましているとき、当店の人気ランチメニューである『からあげ』を食べている人を見て思いついた」そうだ。
とりあえず試作したところ、「唐揚げのしょっぱさ」と「アイスクリームの甘さ」の思った以上の相性のよさにびっくり。ただ、きわものっぽいイメージが先立つため、「メジャーにはなりにくい」と予測していた。ところがいざ発売してみると、口コミでどんどん注文が増加。テレビや雑誌でもたびたび取り上げられ、ピーク時には1日60食の大ヒットとなった。
その人気が冷めやらぬうちに、第2弾の「さくさくロースかつパフェ」、そして、これまで以上にビジュアルにこだわった「最強エビフライパフェ」と「魅惑のアメリカンドッグパフェ」を投入。今や「おかず系パフェ」は、週末にもなると各10食前後の注文がコンスタントに入る定番メニューとなっている。
このシリーズならではのこだわりは、唐揚げ、ロースカツ、エビフライ、アメリカンドッグといったフライ物は、すべてオーダーを受けてから揚げる「熱々」を使っている点。「甘さ×しょっぱさ」に加え、「熱々×クール」もおいしさのカギだからだ。
しかし、熱々のフライをのせるとアイスクリームの表面が即座に溶け始め、盛り付けの美しさをキープしづらい。そこで考え出したのが、和菓子などでおなじみのぎゅうひシートをフライとアイスクリームの間に挟む方法である。これにより、大胆でインパクトのあるデザインが可能となった。
甘さに塩気を加えるとおいしさが増すのは、塩バニラや塩キャラメルと同じ原理。今後も斬新な発想で、新しいパフェ・トレンドを発信していきたいとしている。
◆店舗情報
店舗所在地=京都市中京区河原町通三条下ル大黒町39、電話075・254・8774/経営=からふね屋珈琲(株)/開業=1972年/営業時間=午前9時~翌1時(LO0時15分)、無休/面積・席数=約600平方m・180席/1日来店客数=平均500人前後(土・日・祝は1000人以上)
◆愛用資材・食材:「コーヒーゼリー」
ほろ苦さと香りで高級感をプラス
からふね屋珈琲のパフェのおいしさは、一つ一つ十分に吟味して選んだおいしい素材と、その素材同士の調和を重視した組み合わせがベースとなっている。特に、創業以来こだわり続けている自慢のコーヒーを使った「手作りコーヒーゼリー」は、本来のコクと苦さ、そして豊かな香りを持ち合わせた本格派。パフェメニューにおいても大人の味と高級感をプラスする欠かせない存在であり、大きめのカットでその存在感とおいしさを強調している。