メニュートレンド:焼き鳥の「魚」バージョン 「魚串 波食波食(ぱくぱく)」

2012.02.06 395号 01面
(左から)「うなぎの白焼き」、「さわら」、「サーモントマトチーズ」、「まだい」、「さばのおろしポン酢」、「つぶ貝」、「イカのとんび」、「かわはぎのみりん干し」

(左から)「うなぎの白焼き」、「さわら」、「サーモントマトチーズ」、「まだい」、「さばのおろしポン酢」、「つぶ貝」、「イカのとんび」、「かわはぎのみりん干し」

店内には座敷、カウンターの他立ち飲みスペースも。じっくり飲みたい人も、1杯だけという人も立ち寄りやすい

店内には座敷、カウンターの他立ち飲みスペースも。じっくり飲みたい人も、1杯だけという人も立ち寄りやすい

 焼き鳥と串カツに代表される串料理に新顔が登場。魚介類に串を打って焼く「魚串(うおくし)」である。数年前から首都圏でジワジワ広がっているのを受け、昨年9月には大阪・ミナミにも専門店の「波食波食(ぱくぱく)」が誕生。酒のアテにもってこいの手軽さが魅力の串物の新ジャンルとして、また魚の新しい食べ方として、大阪人の間でも話題を呼んでいる。

 日本人の魚ばなれが言われて久しい。しかし、それは調理の面倒さや骨による食べにくさによるもので、「日本人が魚好きであることに変わりはない」との見方も強い。魚串専門店の「波食波食」がオープン以来人気を集めているのも、その裏付けの一つといえるだろう。

 魚串とはいわば、“焼き鳥の魚介類版”。「少量ずつさまざまな魚を味わえる」点と、「一口大で食べやすい」点が大きな特徴だ。

 居酒屋などで酒のアテに焼き魚や煮魚を注文すると、1匹丸ごと出てきてもてあましてしまうケースが多い。店主の坂口寛さんによると、そうした体験からもっと手軽につまめる魚料理をと考えたのが、魚串に着目した理由だという。

 波食波食では、「少量ずつさまざまな魚を味わえる」魚串の特徴を最大限に生かすため、豊富かつ個性的なメニュー開発にこだわっている。1本50円のシシャモにはじまる通年メニューは、20魚種以上。季節限定のお薦めメニューもバラエティーに富んでいる。さらに魚の種類だけでなく、オーソドックスな塩焼き、たれ焼きの他、バター焼き、ニンンク醤油焼き、西京漬け、さらにはトマトソース、マスタードソース、大葉ソースのせなど、それぞれの魚の特性を引き出す焼き方と味付けにも工夫を凝らしている。

 「無難な魚を使った無難な味付けに甘んじることなく、きちんと選んだ魚で他店では味わえない魚串を提供していきたい」と語る坂口さん。大阪ではまだまだ希少な存在だが、首都圏では既に魚串店のフランチャイズ展開が始まっている。魚料理メーンで修業を積んできた技と経験をベースに、独自性を固めることで来たるべき競合店の出現に備えている。

 焼き鳥や串カツよりヘルシーであっさりしている上に、箸づかいを気にせず上品に魚を食べられる魚串は女性への人気も上々。来店客の男女比は6対4だという。

 「今日は焼き鳥にする?串カツにする? それとも魚串にする?」と言われるくらい魚串をメジャーな料理に育てるのが坂口さんの目標。そのためには「お客さまの口コミが一番大事」と、さらにユニークでおいしい魚串を探求している。

 ●店舗情報

 「魚串 波食波食(ぱくぱく)」 所在地=大阪府大阪市浪速区難波中1-14-12 1階/開業=2011年9月/営業時間=午後6時~翌午前3時(LO翌午前2時)、不定休/坪数・席数=約18坪・28席/客単価=3500~4000円/1日来店客数=約30人/目標月商=300万円/スタッフ=3人

 ●愛用資材・食材:「海人の藻塩(あまびとのもしお)」 蒲刈物産(広島県呉市)

 波食波食では塩焼きの塩に、古代製法による藻塩を使用。海水と海藻だけを原料に、職人の手によって一釜一釜丹精込めて作られる「海人の藻塩」は、うま味のあるまろやかな味わいが特徴だ。「いろいろ試してみましたが、魚の甘味を引き出す力にはっきりとした違いがある」と、塩としてはかなり高価だが、それを超える価値を実感している。

 規格=1kg

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